今年2月の英国出張で、僕はある目的の為にLONDONから電車で約1時間半かけCambridgeという街に向かいました。
その目的はSatchelと呼ばれるbagをARCHで展開する為に。
そもそもSatchelとは、イギリスの学生達が使っていた通学用レザーショルダーバッグの事で、英国では総称してサッチェルと呼んでいます。
日本で言うランドセルのような物です。
1960年代、英国ではそのSatchelが一般的に普及していましたが、1980年代にはナイロン製の機能的なバッグが主流となり、時代の流れと共に、イギリス中の何処を探しても伝統的なSatchelを作るメーカーは無くなってしまったそうです。
そして、僕がCambridgeまで行った目的はその伝統的なSatchelを現在製作しているメーカーがあるとの噂を聞きつけたからです。
The Cambridge Satchel Company
実を言うと、ケンブリッジに行きそのメーカーを訪ねる予定を組んだまでは良かったものの、一度こちらから送ったメールの返信が来ただけでそれっきり音信が途絶えてしまっていました。
現地まで行って駄目だったら諦めがつくと思って、控えた住所だけを頼りに僕は電車に乗りました。
正直こんなところに会社があるのか?と不安になってしまうほど何も無いところにThe Cambridge Satchel Companyはありました。
そこで出迎えてくれたのは、オーナーのJulieという女性でした。
自分が日本から来たこと、そしてSatchelを取り扱いたいという気持ちを伝えると、彼女は快く案内してくれました。
決して大きな規模ではありませんでしたが、そこにはJulieの母親や娘もいて、とてもアットホームな雰囲気に包まれていました。
そう、Juileは二人の小学生の娘を持つ母親でもあります。
彼女は、自分が学生の頃に愛用していたこの英国伝統のSatchelを自分の娘達にも持たせてあげたいという思いから、2007年この会社を立ち上げたそうです。
当時は、周囲から今の時代レザーのクラシックな通学用のバッグなんて需要が無いだろうとかなりの反対を受けたそうですが、長年温めてきた夢を実現させる為、はじめは自宅のキッチンをオフィスにして、プランを練ったそうです。
そして彼女の持ち前の行動力で、遂に伝統的なSatchelを1980年代まで製作していたファクトリーを探し当てる事に成功しました。
6人の職人によってハンドメイドされるMADE IN ENGLANDのSatchelは周囲の反対をよそに、ヨーロッパ各国で支持され、今や某ビッグメゾンから別注の話が舞い込むほどになっています。
だた、彼女はこのSatchelを作ってくれる職人達の為にも、一過性のブームでは終わらせたくない。この英国伝統のバッグを後世に伝えていくのが自分の役目だとも言っていました。
こちらは2月の買い付け時にロンドンのアンティークマーケットで見つけた1960年代のSatchel。
卒業時の寄せ書きのような物や、当時恐らくBEATLESのファンだったであろう学生の落書き、この思い出の詰まったSatchelには物以上の価値があります。
あの日初めて訪れ、取引をしてもらった記念に僕は自分のイニシャルを入れたSatchelをひとつプレゼントしてもらい、それ以来毎日このBAGを愛用しています。
そして今回、ARCHでは4型をセレクトして明日より店頭にて販売します。
明日のブログでこのBagの詳細を紹介する予定ですが、お時間のある方は是非店頭にてご覧下さい!
もちろん、Julieの娘達も通学用にこのSatchelを使っているみたいです。