グレーのトラウザーズ


Archの店頭を見渡してみると、必ず置いてあるアイテムがあります。
パンツにフォーカスするのならば、FRENCH ARMY M-47 TROUSERS、5Pデニムパンツ、そして今回ご紹介するグレートラウザーズ。
これらのアイテムはタイムレスでベーシックなアイテムだからこそ、僕らの伝えたいスタイルにはなくてはならず、Archに通ってくださるお客様には”必ず持っていてほしい”という明確な想いから置いているのです。
今回、男のワードローブに欠かすことのできない”グレーのトラウザーズ”について、Arch 山内とKENNETH FIELDデザイナー草野氏にお話をお伺いしてみました。

Q. グレートラウザーズはご自身にとってどのようなアイテムなのか、教えてください。
5ポケットのジーンズ、軍パン、チノパン、そしてグレーのトラウザーズ
これが自分にとっての4大定番パンツです。
実は個人的に革ジャンが大好きなんですが、ジーパンを合わせるとどうしても本気っぽくなってしまうのでグレーのトラウザーズを合わせることが多いです。
ネイビーのジャケットにブルーのキャンディーストライプのクレリックシャツを着てタイを締めグレーのトラウザーズ、ブラックのALDENを履く正統派のコーディネートも良いですし、古着のTシャツにダブルのライダース
足元はARMY GYM SHOESハズしたコーディネートでもサマになります。
この20年間、夏はサマーウール、冬はフランネルで一本ずつは必ず自分ワードローブにある汎用性の高いアイテムです。
Arch 山内

今回KENNETH FIELDよりArchエクスクルーシヴで製作して頂いたグレーのトラウザーズはまさしくArchのスタイルの根幹となる、ベースとなるアイテムです。
80年代頃のアメリカンスーツのトラウザーズをベースに腰回りは程よくゆとりを持たせながらもテーパードをかけたすっきりとしたシルエット。
ソフトスーツが台頭した80年代の時代背景を捉えた、まさしくモダントラディショナルなトラウザーズです。



今回Archエクスクルーシヴとして選んで頂いた生地は(伊) CANONICO社のホップサックウール。
粗い目におられたホップサック地は程よく薄く3シーズンにわたって着用することのできる生地です。
ベーシックなアイテムは長いシーズンに渡って履けるに越したことはないのではないでしょうか。

今回エクスクルーシヴアイテムの製作にあたり、KENNETH FIELDデザイナー草野氏にお話をお伺い致しました。
①草野様にとってグレートラウザーズとはどのようなものなのでしょうか。
グレーカラーのトラウザーはメンズドレスクロージングでは重要なアイテムかもしれませんが、決してフォーマルなアイテムでは無いと思われます。
以下、エスクワイヤ服飾の解説から考察した内容を書きました。
グレーフランネル自体はスポーツウェアやカントリーウェアの延長線上にあったようです。
1930年代頃からグレースーツのジャケットとトラウザーを単品でのコーディネートが可能という販売戦略があり、そのあたりからセパレートでの着用が市民権を得るようになりますが、当時はノーフォークジャケットと呼ばれるツイード素材とのコーディネートが一般的だったようです。トラウザーの色もグレーよりホワイトの人気が長らく続いていたようです。
アメリカントラディショナルの代表的な装いと言われているネイビーブレザーにグレートラウザーという組み合わせは1980年代に入りブルックスブラザースやJプレスなどが提案した学生向けのユニフォーム的なコーディネートだったのかもしれません。
ネイビーブレザーにホワイトトラウザーというコーディネートに関しては、テニス、ボート(マリンスポーツ)というキーワードで記述を見つける事が可能ですが、ネイビーブレザーにグレートラウザーというコーディネートは70年代末まではトピックスとして見つけだすことができませんでした。
もしかすると、日本のマーケットにおいてグレーのトラウザーは80年代以降にアメリカントラディショナルのルールの一つとして提案され、それが定着したのかもしれません。
アメリカサンフランシスコのケーブルカークロージャーズ、ボストンのアンドオーバーショップといったメンズストアで90年代のシーズンカタログでは、春夏であればサマーウール(ウールトロピカル、ウーステッドウール)、秋冬であれば、ウールフランネルやウールサージのグレー色のトラウザーがネイビーブレザーとコーディネートされた写真が掲載されていた記憶があります。

ここからが本題です。
KFにとってグレー色のトラウザーは、ある一定のルールやトラディショナル感をどれだけコーディネートで払拭できるのか?を考えさせてくれるアイテムです。
わかりやすく言うとミリタリーアイテムと同じです。
ミリタリーの服は、命を守る為に全て着用ルールが決まっていましたよね?
そんなアイテムを街着として自由に着る考え方と同じです。
ルールがあったから、自由な着こなしが出来るし、逆にルールに助けられている可能性もあります。

②CANONICO社のホップサックをKENNETH FIELDで選んだ理由を教えて下さい。
イタリアのカノニコ社の素材は、とにかく開発力が違います。特にヴィンテージ調の素材や4plyの素材には定評があります。
そんなカノニコ社のホップサック(バスケット織)は高温多湿なアジアの気候でも通気性に優れており着用時のベトつき感も少ない生地です。
生地表面の艶感が少ない事、独特のドレープ感も合わせもつ事、落ち着いた表情などがKFが使用している理由の一つです。
KENNETH FIELD デザイナー草野氏

jacket / sus-sous jacket, tank
shirts / US VINTAGE
pants / KENNETH FIELD Arch EX.
SHOES / ALDEN
今回、KENNETH FIELDにエクスクルーシヴアイテムとして製作して頂いたトラウザーズ、実は今期の”シーズンテーマ”に直結する要となるアイテムなのです、、、
それがこちらのスタイリング。
sus-sousのjacket, デニムジャケットをトラウザーズとレザーシューズで上品に、ワークジャケットを着こなす。
ジージャンにトラウザーズを履いていたアメリカンワークドレススタイルをArchとしてはこのように表現したい、そんな想いからセレクトしたアイテムです。


一定のルールやトラディショナル感をスタイルで解き放つ、街着として履くことのできるトラウザーズ。
あるフォーマルウェアへ着る人の妄想する余白を作るKENNETH FIELDのアイテム。
まさしくこれからの時期スタイリングに対する熱が入りそうなアイテムです。
Arch 小村


KENNETH FIELD 2P TROUSERS CANONICO HOPSACK
COLOR / GRAY
SIZE / 29 , 31 , 33 , 35
PRICE / ¥39,600- (inc tax)