Folk/N / Group of Cuar – ARCH EXCLUSIVE
いつもブログをご覧頂きまして、ありがとうございます。
年に一回のアクセサリーのお祭り、今週末からスタートです。
イベントの詳細を記載したブログは、下記のリンクからご覧ください。

【EVENT INFORMATION】
“Folk/N & North Works”
ORDER EXHIBITION
at ARCH南青山
Date : 7/25(fri)~7/27(sun)
※7/26(sat)のみデザイナー太田氏にご在店いただきます。
【注意事項】
※オーダーアイテムについてはオーダー内金をいただいております。
オーダーの内金につきましては商品代金(税込)の50%、もしくは商品代金の全額を内金として頂戴いたします。
お支払い方法は現金・クレジットカード、Pay PayやID・Quick Pay等の電子マネーをご利用頂けます。
※オーダー商品のお渡しにつきましては8月下旬~9月上旬ごろを予定しております。
※オーダー商品につきましてオーダー後のキャンセルはいたしかねます。
※お電話やメールでのオーダーも承ります。
当店電話(03-6434-1203)、メール(minamiaoyama@archstyle.tv)、インスタグラムアカウント(@arch_minamiaoyama)までお気軽にご連絡くださいませ。
今日のブログではイベントの開催にあたり、デザイナーの太田氏にご協力頂き製作した、ARCH南青山EXCLUSIVEの別注バングルのお披露目と、その詳細に迫っていきたいと思います!


Folk/N × ARCH南青山
“GROUP OF CUAR”
SIZE : S , M , L
FABRIC : SILVER 900
PRICE : ¥121,000- inc tax
オンラインショップでのオーダーはこちら

始まりは2年前に遡ります。
初めてNorth Worksのアトリエへ過去の別注商品の打ち合わせに伺った際のはなし。
たしか時期は3月ごろで外はまだ肌寒く、僕たちを迎え入れて下さった太田氏は、アイボリーのスウェットシャツに同系色のチマヨベスト、パンツは古着のLevi’s 501 Blackを合わせていて、その着こなしが抜群に格好良かったことを鮮明に覚えています。
その装いに身につけていた、とあるバングル。
一本ではなく数本で1セットになっているのです。
スウェットの袖口から覗いては鈍い光を纏い、重ね付けされて揺れ動くソレに、商談中も釘付けになっていました。
話し合いも一段落を迎えた後、他愛もない雑談をしているとき、1日中気になっていたそのバングルの正体について満を持して質問。
「ずっと気になっていたのですが、そのバングルって一体何ですか?」
太田氏は細かく説明してくださいました。
「これは”Group of five”なんて呼ばれる、1890年代くらいのナバホ族のヴィンテージのものだよ。
観光業が盛んになるより前のものだから、控えめな装飾と無機質なデザインが気に入っているんだ。」
この当時のナバホ族においてシルバージュエリーは単なる装飾品ではなく、文化・信仰・アイデンティティの表現のツールとして、また交易品として貨幣の代わりとしての役割も持っていました。
19世紀に入ると蒸気機関車が生まれたことで鉄道網が整備され、鉄道観光業が盛り上がっていきます。
フレッド・ハービーという人物はそこに目を付け、前代未聞の最高水準なサービスを提供する車内食堂を手掛けました。
その結果多くの富裕層たちが鉄道を利用し、彼らの旅の思い出を残せるお土産品という要望に叶う物として、ネイティブアメリカンたちが作るジュエリーが注目されます。
しかし従来のジュエリーは、大きくて重く、値段が高い。
それを軽くて薄く、値段が安い。に再編したところ、観光客に大ヒットしました。
かなり省略しましたが、これがフレッドハービースタイルと呼ばれるジュエリーです。
太田氏が所有しているヴィンテージはそれらよりも古いものになり、デザインの根本が違うものであることが分かります。

話が若干逸れてしまいました。
このバングルに魅せられてしまい、”North Works”レーベルで別注として何か製作して頂けないかを打診することも考えましたが、コインシルバーを使ってヴィンテージと同じものを作ることは、詰まるところコピーと同義。
結局、言えずじまいのまま月日が経ちました。
いつか何かの機会で形にしたいと思っていた矢先に、今回のイベント。
“North Works”ではなく”Folk/N”レーベルなら、あのヴィンテージバングルの意匠を汲みながらも別のアイテムへと消化できるのでは?
前回のブログでキーワードとして残した”TRIBAL”と”LUXURY”
ナバホ族と同じアメリカで生まれた、T社のジュエリーが脳裏によぎりました。
同じ時代を生き、同じくジュエリーを作っていた両者。
一方は社会的意味を持つ民芸品、もう片方は宝飾品として。
長い年月交わることはありませんでしたが、あるとき転機が訪れます。

その鍵を握るのが1970年代に活躍したジュエラーであるエルサ・ペレッティ。
従来はゴールドやプラチナ、ダイヤモンドといった宝石を用いて、クラシックで格式高く、着用者の社会地位を投影するかのようなハイジュエリーが主流でした。
そんな中T社のデザイナーに就任した彼女は「骨」や「豆」などからインスピレーションを得て、トライバルジュエリー同様に自然や生命を彷彿とさせるフォルムやデザインのジュエリーを作りました。
使用する素材も、これまで廉価な素材と見なされていたシルバーをあえて採用し、シルバーは貴金属と再定義してのけたのです。
正反対に見えるナバホ族とエルサ・ペレッティには、様々な共通点がありました。

彼女の代表作であるバングルと太田氏が持つヴィンテージ。
それらを紐解き、Folk/NとARCH南青山で再構築した物が今回の別注品です。
元々は1本の曲線が美しい極太のバングルを、重ね付けができるように3分割に。
人の手首の構造に逆らわないような曲線は、オリジナルのまま残しています。
3本のバングルで一つと成す
“Group of Cuar (グループ オブ クアル)”
Cuarはアイルランド語で”曲線”を意味し、中央のバングルにあしらわれている装飾にも、アイルランドにまつわるものが施されています。
デザインはもちろんですが、それより最も大切なのは毎日の使用に耐えうる耐久性です。
その観点から最初にこの別注品を依頼したい際に、実は一度断られました(笑)
それでも無理を承知でサンプル制作をお願いしたところ、なんとか実現できたのです。
Folk/Nで別注アイテムを製作するのは初めてなので、太田氏に尋ねたことがあります。
「Folk/NとNorth Worksの違いはなんでしょうか?」
太田氏は答えてくださいました。
「”North Works”はコインシルバーという限られた材料を用いて、アメリカにルーツを持つジュエリーを作っています。
これは満足に材料も確保できない・製造基盤も持っていない時代に、コインや食器といった銀製品を溶かしてジュエリーを作るという、先人たちが築いたものを大切にしたいから。」
対して”Folk/N”は
「世界各国の名作と言われるハイジュエリーやアメリカ以外の民芸品からインスピレーションを得て、もっと柔軟に時代に合わせた再構築を行なって、モダンでファッショナブルなジュエリーをハンドメイドというクラシックな手法で作っている。
洋服と一緒で全て古着が良いわけではないし、自分が身につけていて気になるところはモディファイしたい。ジュエリーにおいても、そのバランスは大切だと思う。」
これを聞いて、今回の”Group of Cuar”はFolk/Nとの別注品として、これ以上ないほど合致していると感じました。


シャツの袖を捲ったり、半袖が多くなる今の時期は3本セットで身につけてアクセントにしても格好良いです。
季節や気分によって1本だけ付けたり、左右に散らして身に付けても良し。
また他のジュエリーや時計との重ね付けなど、普通なら難しいカスタマイズをお楽しみ頂けます。
またSILVER 900という先住民たちも使用していた素材なので、味のあるエイジングも非常に格好良いです。
オーダーイベント中はスタッフが身につけている製品のエイジングサンプルもご覧頂けます。
バングルを初めて買ってみようかなという方や、次に買うバングルは迫力のあるものを!とお考えの方、どちらにもオススメできるモデル。
ぜひ店頭で実物をご覧になってみてください!

いかがでしたでしょうか?
毎年、特殊な別注制作を受けてくださる太田氏には頭が上がりません。
最高に格好良いバングルが完成したので、イベント当日たくさんの方に紹介できるのを楽しみにしております。
最後に今回North Worksアトリエに伺って、改めてハンドメイドの温もりや大変さというものを間近で感じることができました。
僕たちはARCHの特性としてハンドメイドの物に触れる機会が多いですが、それらは当たり前ではなくいつ失われてもおかしくない、と同時に守っていかなくてはならないと痛感しました。
下記の動画は、一部始終ですが今回の”Group of Cuar”製作シーンを撮影した動画です。
ぜひご覧になってみてください。
ARCH南青山
小見野