GEORGE’S COAT “ULTIMATE”

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MOJITOデザイナー 山下 裕文氏

アーネスト・ミラー・ヘミングウェイ著 『雨の中の猫』。

文豪ヘミングウェイの私生活や作品が持つ世界観をデザインに投影し、洋服を制作している”MOJITO (モヒート)”
先程紹介した『雨の中の猫』は雨の日のホテルを舞台に、倦怠期の夫婦を描いた短編小説です。
作中に登場するジョージの妻が、ホテル2Fの窓から雨の中にいる小さな猫を見つけ雨が降りしきる外へと出ていき、それを庇ってずぶ濡れになっているジョージの姿からインスピレーションを得て生まれた”GEORGE’S COAT”は、MOJITOの哲学を如実に表したブランドを代表するコートのひとつ。

MOJITO 25AWのインラインコレクションには並ばず、水面下で制作が進んでいた”究極”で”アルティメット”なGEORGE’S COATが、ARCH南青山の3周年を祝福してくれるかのようなタイミングで到着いたしました。


-はじまり-

永年に渡りMOJITOをご愛用いただいている、ひとりのお客様からの声をカタチにすべくスタートした。

歴代のGEORGE’S COAT全てを所有されている氏から、ぼくは多くのコト、モノを教えてもらった。
旅と雪山、極寒の地が大好きな氏と2ヶ月に1度くらいのペースで会い、主にモノについての話をする。
つい先日は、東京の宝とも称される御菓子処「さゝま」の松葉最中の話に花が咲いた。
「きっと、最中の究極は『松葉最中だよね〜』」。
男二人で小一時間、盛り上がる。
その前はサインペンで、その前の前は大福餅、さらに前は懐中電灯だった・・・。

『山下さん、来年の雪山にはGEORGE’S COAT”を着て行きたいんだけど、防寒性が高いGEORGE’S COATがあれば欲しいな〜。おもて面はオーセンティックなツイードだけど、ある程度の防寒性と撥水機能があり、蒸れなくて保湿性があるのがイイよね!とにかく雪山は寒いから、首まわりや手首もガッチリ閉まる仕様で、着丈も少し長めだと有り難いんだけど。
あっ、あとカメラを首からぶら下げた時に固定できるようなタブがあると嬉しい。大袈裟なタブじゃなくて・・・。
でも、究極なGEROGE’S COATね!』

約1年前にそんな会話からスタートした。
機能素材とツイードの相性テストを重ね、ファースト、セカンド、サードサンプルを約1年かけて作り続けた。
もちろん、氏にサンプルを見てもらい、お互いにアイデア出しを繰り返した。
ここで、氏とぼく、丸縫いの職人さん、パタンナーの苦労話をすると終わりが見えないので割愛することに。

決して大袈裟ではなく、とんでもないGEORGE’S COATが完成したんです。
氏とぼくの英知がてんこ盛りのアイテムです。ぜひ!!

MOJITO 山下 裕文


【12/19(fri) Release!!】
BRAND : MOJITO
MODEL : GEORGE’S COAT ULTIMATE
COLOR : BEIGE CHECK , RED CHECK
SIZE : S , M , L , XL
PRICE : ¥297,000- inc tax

要約をするなら、街着だけでなく雪が降りしきる冬の登山にも耐えうるハイスペックのGEORGE’S COAT。
普通のアウトドアウェアならば、スポーツショップにでも行けば簡単に手に入るであろう。
でもそれじゃダメなのだ、洋服好きの琴線に触れる格好良さがなくては…。
氏と山下さんお二人のアイデアをもって完成した、究極な1着。
では一体何が究極なのか?

表と裏地には生地サプライヤーがストックしていたもので、現在の生地番地ではなかなかお目にかかれない、貴重なHARRIS TWEEDのツイードを贅沢に使用。
もちろん、それだけでは雪山には行けません。
最高峰のアウトドアウェアに用いられるハイスペックメンブレン生地を、なんとツイードの間に挟み込みボンディング加工で圧着。
非常に透湿性が高い素材なので、雨や雪が浸透するのは防ぎながら蒸気は逃してくれるので、暖かさは担保されつつも蒸れにくいのが特徴です。
なのでこのコートが生まれたきっかけである雪山はもちろんですが、街着としてもしっかりと効果を発揮してくれます。

これだけでも高度な技術が求められますが、極め付けは一人の職人さんが一着を縫い上げていく丸縫いで仕立てられています。
さらにはフードとボディの柄合わせをするべく、貴重なツイード生地の取り都合は無視。
なのでBEIGE CHECKは12着、RED CHECKは9着しか作ることができませんでした。
全ての個体に番号が振られていて、ちょっとした特別感も味わえます。

正面の上部ポケットについているリングには、カメラをぶら下げたまま歩行ができるようにするためのカメラストラップが装着できます。
さらに各所のぶた鼻は、すべてイタリアのB社のレザーを贅沢にも使用しており、その厚みなんと約5mm。
あまり目立たないぶた鼻にまで、このこだわりようです。

そして個人的に痺れたのは裏地です。
いや正確には裏側のツイード生地のこと。
これはデザイナーの山下さんから教えて頂いたのですが、英国の貴族たちはスーツ等を仕立てる際に他のジェントルマンたちとのプライドバトルとして、通常裏地となる部分まで表と同じ生地を使用するそうです。
表地よりも安価な生地を裏地に使用して価格を下げたいというのが本音ですが、本物の貴族は見えないところまで表に使っている高級な生地を当てることで、自らのプライドを守る同時に富をアピールしていたというお話をお聞きしました。
決して富のアピールがしたいわけではありませんが、かつてのジェントルマンたちが大切にしていたダンディズムをリスペクトして、この”GEORGE’S COAT ULTIMATE”はその仕様を踏襲しています。

実はこのGEORGE’S COATというモデルは、僕たちARCHと深い関係があります。
もともとMOJITOの初期コレクションに存在したGEORGE’S COATは、今と違ったデザインでした。
そのデザインを弊社代表の山内が気に入って、過去にARCH別注としてリリースしたことがあります。

それから時間が経ち、MOJITOのイベントを札幌で開催するにあたり、デザイナーの山下さんがArch Sapporoへとご来札になりました。
その際に、ARCHで所有していたWillis&Geigerのヴィンテージジャケットと山下さんが出会ったことで、GEORGE’S COATは後のコレクションでアップデートされ、今のカタチへと進化したのです。

そして今回久々の制作になった”GEORGE’S COAT ULTIMATE”も、全世界でARCHだけの展開。
なにか類稀なる良縁を感じます。

ダブルジップ仕様のミドル丈コートは、英国のクラシックなアウトドアウェアを彷彿とさせます。
厚みのあるセーターとシンプルな重ね着も良し、ジャケットをレイヤードした際も着丈が隠れるので安心感があります。

そしてなんと言っても圧倒的な生地の迫力が格好良い。
生地の重厚感を活かすべく、襟を倒した時にしっかりと生地が開き寝てくれます。
前を開けていても閉めていても、抜群の存在感です。

アウトドアウェアでありながら、良い意味でそれを裏切ってくれるビジュアル。
ジーンズやミリタリーパンツ、スウェットパンツなどのカジュアルパンツから、コーデュロイやツイードなどのトラウザーズまで、スタイリングの幅を選びません。

いかがでしたでしょうか?

3周年を記念するに相応しい、特別なコートになりました。
ぜひ一度店頭にて実物をご覧になって頂きたい一着。
その存在感に思わず息を呑んでしまうはずです。

明日はアニバーサリーイベントの目玉である、ヴィンテージマーケットのラインナップを紹介いたします。
乞うご期待ください!

ARCH南青山
小見野