Trujillo’s – ARCH EXCLUSIVE
今から約2年前の、ちょうどこれくらいの肌寒い時期。
ずっとお店で取り扱いたかった、あるアイテムのオーダーをすることに。
何を隠そうチマヨベストである。
数少ない現存するチマヨ織りを生業としているブランドの中でも、Trujillo’s (トルフィリオス)のクラシックなチマヨベストを、ARCH南青山で展開しているCASEY CASEYやforme ‘d expressionといった、モードウェアらしい奥行きを持つ洋服たちと組み合わせて提案したくて…
それが入荷する日を楽しみに待つ日々が始まりましたが、まあ待てども待てども全然入ってこない。
Trujillo’sは代々家族経営を貫いており、職人に対して世界各国からのオーダーが絶えず、生産が慢性的に遅れているという情報は聞いていました。
オーダーが通っていなかったらどうしよう、という一抹の不安を抱えながらも気長に待つことに。
それからまた1年以上が経ち、間もなく始まる春夏シーズンにうつつを抜かしていて、すっかり忘れかけていました。
そして、その時は唐突にやってきました。


【2/14(sat) release…】
Style : Solid R/C vest
Fabric : Hand woven wool tweed
Color : Black
Size : S , M , L , XL
Price : ¥99,000- inc tax
※オンラインショップへの掲載および通販は2/16(mon)からとなります。


そもそもTrujillo’s、もといチマヨベストとは?
今でこそファッション的な側面が強くなっていますが、はじまりはファッションとは全く無関係なところにあります。
一般的にチマヨベストと呼ばれるアイテムは、アメリカはニューメキシコ州のチマヨ村で垂直織機を用いて手作業で織られる生地を使ったベストを指します。ヴィンテージ市場にはベストだけでなくジャケットも存在したり。
Trujillo’sは古くからニューメキシコ州チマヨ周辺に住む、ヒスパニック系ファミリーのひとつで、これから説明するチマヨ織文化形成の立役者のひとりであり、今なお伝統的な技術を継承している由緒正しきブランドです。
さらに深堀ると、もともとはリオグランデ峡谷を挟んだメキシコで、スペイン植民地時代に発展した文化のもと生まれた、サラぺと呼ばれるマントやブランケットに行きつきます。
それらはトレードアイテム(交易品)として、通貨代わりに用いられていました。
その後、17世紀に入るとスペイン人がニューメキシコ州まで入植し、現地先住民であったプエブロやナバホといった民族たちとの交流が始まります。
先住民族たちには元々織物文化が根付いており、それらとメキシコ由来のサラぺが融合することで現代の俗にいうチマヨ柄の原型が出来上がることに。
それから時が経ち、1800年代の終盤に差し掛かるとアメリカ南西部にも鉄道が開通します。
東部の富裕層などが旅行に来るようになり、かつてブランケットだった織物は土産として持ち帰りやすいラグに形を変え、商人たちが着られるように今のような洋服の形になっていきました。
かつて交易品やお土産品とされていたものが、時代が変わり海を越えて着こなしを楽しむアイテムに変わっている。
ミリタリーやワークウェアにも言えることですが、とても面白いですよね。




一般的なチマヨベストは、正面や背面にダイヤモンド柄があしらわれていたり、ネックもV字に開いたジレっぽいデザインのものが多いですが、僕たちはあえて単色の黒色かつネック位置を高めたラウンドクルーネックに近い形での別注を依頼しました。
柄を撤廃することで本来の民族的な含みを気にせず、より自由なコーディネートを楽しんで頂けます。
またゆっくりと丁寧に高い密度で織り上げられる手織り生地は、生地そのものの迫力をダイレクトに感じることができることも、柄がない魅力です。
そしてネックをラウンドクルーネックにすることで、シャツとのレイヤードはもちろんですがスウェットやセーターといったプルオーバーのトップスとの組み合わせも馴染みやすく汎用性が高いです。
高さのあるクルーネックではないというところもミソで、少し低めに設定されているのでワークジャケットなんかと合わせたときに、首周りに程よい余白が生まれて重たく見えにくいところも嬉しいポイント。
極めつけにシルバー製のコンチョボタンというところも、男心をくすぐられます
【Style sample】




クラシックなチマヨ織のウェアは、今や”民藝品”の域にあると個人的には感じています。
入荷数が少なく、今回分で欲しいと思って頂いている皆様へ行きわたるかは分かりませんが、伝統的な技術が途絶えてしまう前に、歴史に裏付けられたこの格好良さを、ぜひたくさんの方に見て頂きたいです。
ARCH南青山
小見野









