FRENCH VEST WOOL/LINEN
古き良き伝統を継承しながら、ARCH独自のフィルターを通して、様々な年代や国のディテールをミックスし、生地や形を改良する。そうして最高の一着ができるまで、試行錯誤を繰り返す。
そうして生み出されてきた、ARCHブランドの商品の数々ー。
その拘りについて、熱く語る作り手の姿を私が初めて見たのは、今年の夏。
ARCH東京地区ミーティングの日でした。
商品の持つ背景を伝える作り手と、それを受け取ろうとするARCHスタッフ達によって、活気に溢れるミーティングスペース。
必死に筆を走らせ、メモをとりました。
あれから約2か月が経ち、ARCHの作る24AWコレクションが続々と発売されました。
今回は、それらの商品と合わせて、是非ワードローブに加えていただきたい一着をご紹介いたします。
【10/25(Fri)発売開始】
ARCH / FRENCH VEST WOOL/LINEN
COLOR / NATURAL ,BLACK
SIZE /S, M , L
PRICE / ¥39,600- inc tax
オンラインショップはこちら
・NATURAL
・BLACK
モデルとなったのは、1950年代にフランス軍で護身用として着用されたプルオーバーベスト。
シンプルでコンパクトな見た目に反し、糸質選定から生地の加工、身幅や肩周りの収まり等形の調整まで、幾度も修正を重ねて出来上がった、渾身の一着です。
しっかりとした肉厚感がありながら、キメが整い、さらっとした生地の表面。
わずかにリネンのハリも感じられ、つい触れたくなってしまう、独特の触り心地です。
首、袖部分には裏地が付いており、型崩れを気にすることなく着用していただけます。
毛織物は、編み込んで生地にしているものをよく見ますが、今回挑戦したのは、ウールリネン混紡素材を横編み機でつくり、生地に縮絨をかけ、一枚のフェルトのような布帛面を作り出すという試みです。
生地をよりフェルトに近づけるために、シェットランドウールとフランス産リネンに、未防縮の羊毛をブレンドし、オリジナルの原料を作るところから、一切の妥協なく取り組んでいます。
縮絨とは、高温で洗いをかけて毛を絡め、生地密度を上げる手間を繰り返すことで、肉厚で強度の高い生地に仕上げていく加工技術。
元々スーツの素材として用いられる「メルトン」や「フランネル」も同様の工程で作られますが、それよりも更に強く縮絨をかけ、今回のような丈夫なフェルト状の生地に仕上げています。
また、繊維が絡み合うことで、生地は肉厚になり、空気の逃げる隙間が減って保温効果も高くなります。
一方で、縮絨のかけ方によっては表面にテカリが出たり、生地がタワシのように硬くなりすぎたり、熱がこもりすぎて蒸れたりと、調整の難しい加工でもあります。
この縮絨という工程だけで10回以上、テストを繰り返しています。
更に、フェルト化に伴って斜向(生地が捻れること)が発生しないよう、糸の組み合わせを計算したり、ヴィンテージのような深みのある風合いを出す糸質を選定したりと、気の遠くなるような細かな調整を重ねました。
素材開発に根気強く向き合い続け、理想の布帛面が完成するまでに1年以上の時間を費やしています。
この生地には、作り手の弛まぬ努力が刻み込まれている。
文字に起こすと大袈裟でしょうか。しかし、そう思わずにはいられませんでした。
当時、鎧の下に着ていたプルオーバーベストを、ARCHで取り扱う商品と合わせて着こなすならー。
ARCHの商品は持っていても、今までベストを手に取ったことがないという方も、多くいらっしゃると思います。
ここからは、ARCH南青山店のスタッフ達がそれぞれ考えたコーディネートをご紹介します。
【RECCOMEND STYLE No.1】
SHIRTS / KENNETH FIELD “AUTHENTIC Ⅱ”
NECKTIE / rdv o globe “HAND ROLL TIE”
VEST / ARCH “FRENCH VEST WOOL/LINEN(BLACK)”
TROUSERS / KENNETH FIELD “1P TRIM TROUSERS FOX FLANNEL”
シャンブレーシャツにネクタイを締めて、フランネルトラウザーにカジュアルなジャケットを羽織ったARCHらしいブリティッシュスタイルに、ニットベストを合わせるような感覚でFRENCH VEST WOOL/LINENを差し込んだコーディネート。キメの整った布帛面が上品さも出しつつ、縫製を施していない裾がカジュアルに落とし込んでくれます。
【RECCOMEND STYLE No.2】
SHIRTS / KENNETH FIELD “AUTHENTIC Ⅱ”
NECKTIE / rdv o globe “HAND ROLL TIE”
VEST / ARCH “FRENCH VEST WOOL/LINEN(BLACK)”
TROUSERS / KENNETH FIELD “1P TRIM TROUSERS FOX FLANNEL”
同じシェットランドウールに縮絨加工を施したHOFFER JACKETを、先程のコーデにON。
ウールニット、ウールリネン、フランネルと、異なる質感のウールでまとめることで、グッと上品な印象に。どれもARCHが自信をもって提案できるこだわりのアイテムですが、こうして見ると、一言にウールと言っても、縮絨のかけ方によってここまで質感に違いが出せることに、驚かされます。
【RECCOMEND STYLE No.3】
JACKET / ARCH Sapporo “BRITISH WORK JACKET”
SHIRTS / MSG&SONS”THERMAL SHIRT MADE IN USA”
SCARF / THE INOUE BROTHERS “JULIEN COLOMBIER LETTIBSS24”
VEST / ARCH “FRENCH VEST WOOL/LINEN(NATURAL)”
TROUSERS / BONCOURA “66”
上半身をホワイトカラーでまとめ、スカーフの色使いとブラックデニムでバランスをとったフレンチカジュアルなスタイリング。
奥行きのあるウールリネンの表面は、同系統の色と合わせた際にも奥行きのある豊かな風合いの表情に。
ナチュラルな色味を生かし、異素材のものを混ぜて着ていただいても、無骨になりすぎず絶妙な塩梅に仕上げてくれます。
ビーチクロスのベストやチマヨベストなどとはまた一味変わる面を活かしたスタイルです。
【RECCOMEND STYLE No.3】
JACKET / VINTAGE “FRANCH ARMY PARATROOPER JACKET”
SCARF / ANATOMICA “DRAKE’S SCARF”
KNIT / THE INOUE BROTHERS “Crew Neck Pullover”
VEST / ARCH “FRENCH VEST WOOL/LINEN(NATURAL)”
TROUSERS / VINTAGE “LEVI’S 501 BLACK”
柔らかな色味のNATURALは、敢えてミリタリージャケットやブラックデニムなどの無骨なアイテムと合わせても、優しい雰囲気を残してくれます。やや身幅にゆとりのある作りですが、体に馴染む形状で、インナーにハイゲージニットを合わせても違和感なく着用できます。
個人的には、バスクシャツに重ねて、FRANCH FARMERS TROUSERなどのモールスキン素材のパンツと合わせるのもおすすめです。
ARCHには、交わらない線上にあった物同士が、各ブランドのフィルターを通し、一つに落とし込まれて存在する、そんな商品が多くあります。布帛でもあり、ニットでもある、今回の”FRENCH VEST WOOL/LINEN” も、作り手の情熱をぎゅっと詰め込んだ、他に変わるもののない一着となりました。
是非店頭にてお試しください。
ARCH南青山
中村