MSG&SONS / “8812” SWEAT SHIRT
“8812”
皆様はこの数字列に見覚えはありますでしょうか?
覚えがあるという方は、生粋の洋服好きとお見受けいたします(笑)
通称”ワンツーボディ”
アメリカの老舗アスレチックウェアブランドであるC社が、1960年代に主にカットソー用に発明した生地。
従来のカットソーは、コットン100%で作られていました。
もちろん素材はアメリカ育ちのコットンで、ドライタッチで毛足が短いという特徴を持っています。
そのため生地が破れやすく、アスレチックウェアとして必要不可欠な耐久性に乏しいという悩みを抱えていました。
そこでC社が満を持して発表したものが、コットン88%にレーヨン12%を加えた生地。
レーヨンがコットンの補完をし、柔らかさと耐久性のある当時革新的なテキスタイルで、古着好きからも非常に人気があり、付けられた俗称が”ワンツーボディ(ハチハチワンツー)”なのです。
弊社で長らく取り組んできた”8812シリーズ”
1作目は、過去の試作の際に出た残糸を有効活用し生まれた、サーマルシャツをリリースしました。
これも従来のサーマルらしくない柔らかな着心地から、非常に好評を頂いております。
そしてなぜこのタイミングで改めて”8812″の説明をしたのか。
それは、ついに僕たちの納得のいく”ワンツーボディ”が完成したからです。
入社1年目だった僕も、気がつけばもう少しで5年目。
実に約4年の歳月がかかりました。
その”ワンツーボディ”を使用したスウェットシャツが、ようやく入荷してまいりましたので紹介いたします。
MSG&SONS / 8812 SWEAT SHIRT
COLOR / FEATHER GRAY
SIZE / S , M , L , XL
PRICE / ¥35,200- inc tax
オンラインショップはこちら
弊社オーナー山内が20代の時に購入した、70’s頃のC社製スウェットシャツがパターンベースにあります。あまりにも有名なので敢えては書きませんが、皆様が一度は古着屋で目にしたことのある、普通のスウェットシャツです。
余談かもしれませんが、非常にお気に入りらしく、ボロボロになりながらも都度直しており、今でも現役だと仰っていました。
一見すると、なんの変哲も無いグレーのスウェットシャツ。
しかし実物を見て着てみると、一般的なものとは一線を画していました。
あまりにも良すぎて、フライングで購入してしまったので、このスウェットの良さを可能な限り言語化することで償いとさせて下さい…(笑)
まずはなんと言っても、この生地です。
サーマルの話に通じますが、この4年間で数十回単位で生地サンプルを作ってきました。
その甲斐もあり、渾身のクオリティ。
ヴィンテージの”8812″は、奥行きがある霜降りグレーが特徴的。
現在は閉鎖してしまった、C社お抱えのファクトリーにしかない特別な精紡機で制作されていました。
具体的な糸の作り方は、是非店頭でお話しさせて下さい。
当時の技術は失われてしまいましたが、オリジナルの霜降り感を求めてようやく完成したのが、今回使用している生地です。
グレー単色ながらも、凹凸感により迫力のある杢グレー。
デザインやプリントが施されているわけではないのに、しっかりとした存在感があります。
ヴィンテージではTシャツが主流で、C社製でスウェットに流用されているものは見かけたことがありません。
そしてもう一つの魅力は、ヴィンテージスウェットには無いフィッティングです。
僕自身ヴィンテージスウェットを所有しており、古着ならではのカッコ良さがあったり、所有欲を満たしてはくれますが、肩回りのもたつきだけがどうしても気になる。
ジャケットのインナーにしようにも、スポーツコートやアームの細いワークジャケットなどと合わせると、シルエットが崩れてしまったりするので、冬になると手が伸びにくくなっていました。
今回のスウェットシャツを作るにあたりMSG&SONSで意識したのは、ヴィンテージスウェットらしいパターンワークを意識しながらも全体的なバランスをモディファイすることで、インナーとしての汎用性を高めています。
生地自体も厚すぎず薄すぎない、どんなジャケットのインナーにもなりますし、春や秋にも単体で着用しやすい。
本当に丁度良い一着に仕上がっています。
【STYLE SAMPLE】
CAP : MSG&SONS “WATCH CAP”
JACKET : OUTIL “VESTE ETAIN”
SWEAT : MSG&SONS “8812 SWEAT SHIRT”
SHIRT : KENNETH FIELD “2012 AUTHENTIC Ⅱ WORK SHIRT”
PANTS : BONCOURA “XX”
SHOES GUIDI&ROSELLINI
JACKET : forme d’expression “RAW-EDGED CABAN”
SWEAT : MSG&SONS “8812 SWEAT SHIRT”
NECKLACE : NORTH WORKS
PANTS : LEVI’S “501 BLACK”
COAT : ARCH “LAPELLED WOOL COAT”
SWEAT : MSG&SONS “8812 SWEAT SHIRT”
SCARF : THE INOUE BROTHERS… “MULTI COLOURED STOLE”
PANTS : ARCH “1940 TROUSERS ORGANIC BROWN CORDUROY”
SHOES : ALDEN
良い意味で非常に普遍的なスウェットシャツ。
様々なコーディネートの屋台骨になり、目立ちはしないけれど無いと成り立たない名脇役のような、そんな存在感があります。
モールスキンのワークジャケットや、ヘリンボーンのミリタリージャケット、ウールコートやダウンジャケットなどなど。
程よい厚みを活かして、ニットカーディガンのインナーにしても面白そうです。
洋服屋としてはあまり良い売り文句ではないですが、何でも合わせられます。
着込んでいくとレーヨンのおかげで、どんどん生地がとろとろになり着心地の良さが増していきます。
スウェットシャツでこの質感は、ヴィンテージのものでは体感できない味わいです。
先日開催した、THE INOUE BROTHERSのイベントが始まるまでの1週間は毎日”8812 SWEAT SHIRT”を着用してしまいました。
かなりの中毒性があります…
いかがでしょうか?
正直まだまだ伝えたい内容はあるのですが、店頭で話すことがなくなってしまうのでこの辺りにいたします(笑)
一通り秋冬のアウターなどを買い収めた方や、実はグレーのスウェット後回しにしていてまだ持っていないという方は、本当に自信をもってオススメできる一着なので、是非一度店頭にてお試し頂きたい
です。
ARCH南青山
小見野