80年代の後半の話。

東京原宿竹下通りに赤富士という古着屋さんがあった。当時は、近くにあったフェイクアルファでVintage denimやスウェットシャツを物色していた時期で赤富士は、たまに覗く程度だった。赤富士に陳列されていたツイードジャケット(のちにスポーツコートと呼ぶようになる)の物量が半端なかった事だけが記憶に残っている。

以前にアンバイのブログで書いたけど、80年代は比較的ゆったりとしたシルエットのトップスがブームで肩パットが入った3つボタンのジャケットも当然流行のど真ん中だった。ゴージラインが低く、3つボタンの上２つ掛け、ややウエストシェイプされたパターンが主流で東京発のDCブランド、イタリアやフランスのブランドも然り、ファッション誌の誌面にはそんなアイテムのオンパレードだった。古着のチョイスも3つボタンでゆったりとしたシルエットのジャケットを推していた。

そんな中でもアメリカのトラディショナルなブランドは70年代のフォルムから50年代を意識したフォルムに移行する事で、誇張されたラペル幅、極端なウエストシェイプ、深過ぎるベントが違和感の少ない身体のフォルムに自然にフィットするジャケットを販売するよりになっていた。

ただそれも基本的にはアメリカ人ボディが基本にあった事、50年代の肩幅を意識したフォルムだった事から一般的に華奢な日本人が着用するとゆったりとした印象が強かったのだと思う。

随分後になってわかったのが、当時夢中になって探していたリーバイスやデニムブランドのヴィンテージやスウェットシャツと3つボタンのジャケットは、ほぼ同じ年代に作られたアイテムだった。80年代から遡ること30年前、1950年代にアメリカで普通に着用されていたモノ。

90年代に入り、ヴィンテージデニムやスウェットなどの人気が衰える事は無かったが、ガッシリと肩パットの入ったジャケットは徐々に人気が無くなり、古着店のラックから徐々に姿を消していった。

いや、あまりの人気で売り切れてしまったのか？セレクトショップでは、肩パットの薄いナチュラルショルダーや肩パットの無いアンコンジャケット(アンコンストラクテッド)が市場に出回るようになった。

当時、彗星の如く現れたロメオジリの影響があった事は無視出来ない事象かもしれない。ただし渋カジを代表したラルフローレンの紺ブレ(金ボタン付きのブレザー)は人気が急上昇し、その肩パットの名残りを継承した最後のヒットアイテムだった気がする。

90年代のヒットアイテムは、30年前の60年代とリンクしているか？と言われると？ちょっと印象が薄い、ご存知の方がいらしたら教えてください。

この頃から、東京独自のストリートスタイルの流れが主流となっていった。要はテイストの掛け離れたアイテム同士の組み合わせもOKな時間帯に突入。王道なラルフローレンの紺ブレ、アイクベーハーのボタンダウンシャツにネイビーチノ、足元はティンバーランドであれば、米東海岸風のカジュアルスタイルでラルフローレンの広告にも出てきそうな雰囲気だったけど、タンクトップにネイビーブレザー、ややフレアーな5pにエンジニアブーツやウエスタンブーツは流石に、世界に類を見ないスタイルだったように思う。

とは言え、ウエストがややシェイプしたネイビーブレザーやツイードジャケットにややフレアー気味のトラウザーのシルエットはアメリカの70年代後半から80年代初頭までは多く見られたスタイルだったので、その時間差、サイクルのスピードが無関係では無いのかもしれない。ウディアレンの当時のスタイルやクレイマークレイマーのダスティンホフマンのスタイルを見てもらうと分かりやすい。

さて、本題に戻ると

今回アーチ米村屋で提案したいのは、古着のツイードスポーツコート。それも80年代に作られたアメリカンブランドを中心にしたモノ。2024年から遡る事34年から44年前に生産されたアイテム達は、当然、肩パットもしっかりと入ってツイードの厚みも洗濯やクリーニングでしっかり目が詰まり、重量も感じることが出来る。

80年代らしい、深いVゾーンにやや広めのラペルや深く入ったセンターベント、ウエストシェイプからスソに広がる綺麗なフォルム。これはKFでも提案している2Bスポーツコートのルーツです。

ここ数年のトラウザーのワタリ幅や裾幅にリンクした、その80sスポーツコートのフォルムとハリスツイードや名も無きツイードの色合い、素材感、そして内側に付いた織ネームのデザインなど、店頭でご覧になってください

YONEKAJI ®️ではお馴染みのオリーブグリーンのミリタリートラウザーにキャンバスのアーミースタイルシューズ、サーマルにシャンブレーシャツなどベーシックで馴染み深いアイテムにツイードスポーツコートのコーディネートをおススメします。

古着が苦手な方にはKFのツイードスポーツコートもご用意します。貴方だけの1着を探してみてください。

本イベントの開催中は、KFの24FWコレクション、ヴィンテージハンティングワールドのネクタイを再構築した4Face Tieや

プライベートアーカイブ(Vintage wear)をご紹介します。

KF official 草野

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札幌でのKENNETH FIELD EVENTは実に3年ぶり。ブランドの世界観は勿論、デザイナー草野氏のスタイルやお話を直で見て、感じられる貴重な機会です。私達もとても楽しみです!!

イベント前日9/26(木)には、INSTA LIVEも配信致します。デザイナー草野氏も出演予定ですので是非お楽しみに!!

ARCH米村屋