24FW KENNETH FIELD ARCH EXCLUSIVE “BOSTON VINTAGE FABRIC”

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こんにちは。ARCH米村屋の町田です。前回のブログの続き、

展示会で草野氏から提案頂いた、Le Poste(フランス郵便局)のヴィンテージ郵便袋を使用したBOSTON SPORTS COATについて。

このアイテムがなぜARCH EXCLUSIVEとなったのか。
なぜ落とし込まれたモデルがBOSTONなのか。
フランスとアメリカを繋ぐストーリー。

このアイテムができあがる素敵な物語と、思いもよらない事態について…..
草野氏から頂いたメッセージです。是非ご一読ください。

arch1 Boston vintage fabric

パリでの展示会をスタートしたころ、アーチ代表の山内さんに教えていただいたヴァンブの蚤の市。 パリの蚤の市と言えば、クリニャンクールしか知らなかったので、小規模で庶民的な感じのヴァンブ蚤の市はパリ滞在中の楽しみの一つになっている。

薄暗い早朝、先ずは駅近のパン屋でクロワッサンとカフェオレを頂き、外席で一服。 パリは喫煙者に優しい街と勝手に思っているので、気兼ねなくプカプカ。

夜明け前の道路沿い、奥の奥に黒い人集り。地べたにビニールシートコーナーに、ばら撒かれた生活雑貨や洋服をiPhone のライトを頼りにサラッと物色。言い方は悪いが、ろくなモノは無いビニールシート上でも英国靴を牛丼価格で調達したこともあるから侮れない。 8時過ぎ、ちゃんとした業者さん(きっと許可書をお持ちの方)が、テーブルの上に思い思いのアイテムを陳列し始める頃、あーでもない、こーでもないと物色をスタートするのが、基本的なルーティン。

KFラジオでもお分かりのとおり、なかなかコレッというものには出会えないのが常。 コレッというモノに出会ったら躊躇せず買いたい、といつも思っている。が!たまに悩ましいモノがあるから厄介。使うか分からない、サイズが部屋に合うか微妙、 重量は大丈夫か?など考えはじめるとキリがない、、、

そんな中でも、古い布や袋モノにはそそられる。いつか使うだろう、いやきっと使う、コレは貴重な資料なんだという、決め台詞を次々に自分に投げかけることで精神状態の安定を保っている、、 布の場合は、サイズを確認してスポーツコート1着作れるくらいあれば、なお気持ちは落ち着く。 どれくらい古いか?は重要では無く、その佇まいが好みかどうかが重要。

話を本題に戻すと、 今回作製したスポーツコートに使用した生地には、コロナ前にヴァンブでまとめ買いしたフランス郵便局の集荷用袋が含まれる。使い古されたベージュカラーは綿麻のキャンバスような風合いで、サイズが数種類あり、Le Posteと大きく印刷されていた。サイズを記すナンバリング?の書体とヤレタ生地の風合いが申し分なかった。

サンプルを作る段階で、コレは パリの蚤の市を教えていただいた 山内さんの店で販売して欲しいと、勝手に決めていた。笑

型をBoston にしたのには理由がある。アメリカ最古の都市のひとつといわれているBostonは前職では何度も訪れた想い出深い場所。ご存知のハーバードやMIT,老舗のJ.PressやAndover shop、名前は忘れてしまったけどクロージングをメインにした素敵なセレクトショップ。街を流れる川ではレガッタの練習風景、BobbyのVintage shopや足を伸ばせばAlden の工場、とにかく東海岸のアメリカントラディショナルを随所に感じる都市だった。

代表山内が保管しているBobby from Bostonのポストカード。

そしてParisのアナトミカを 札幌で運営する山内さんは、以前はBostonでの買い付けも行っており、勿論アメリカンヴィンテージにも精通されている。山内さんにとってもBostonは縁の地。そんなBoston とParisがAir mailの行き来で繋がっていたかもしれない、、、インターネットの無い時代の手紙のやりとり、使用されていたLe Poste の袋。得意な妄想の結果、スポーツコートという型で世に送りだせると考えただけでも ジーンと響くものがあった。

山内さんにこの妄想を伝えたかは 忘れたけど、出来上がったサンプルを見てもらい、いいですねー!と言わせた事は覚えている。笑笑

そして、もうひとつのストーリーを書いておこう。
生産していただく方々の都合も有り、10着限定のスポーツコートになる事が決定し、生地の配置を再確認した。その時点で10着作るには、Le Poste袋が更に数枚必要な事もわかっていた。パリにも行くし、パリで見つからない場合は日本で手に入るだろうとたかを括っていた。
が、パリでも日本でも なかなか見つからなかった。 挙げ句、山内さんの知り合いのヴィンテージディーラーにも聞いてもらうという失態。。。
諦めかけていた頃に、とあるオンラインショップにLe Posteを発見。そのオンラインショップでは在庫をお持ちのようで、10枚購入させていただいた。
指定の郵便振込を済ませ、数日後に到着日を確認する為にメールをしたが返信は無い。とっさに騙された??と思ったけど、そんな筈は無いと何度もメールするが返信は無い、、、

完全に騙された。笑笑笑

という訳で、正真正銘パリ、ヴァンブ蚤の市で購入したLe Poste 袋と弊社に保管してあったインド製生地を使用し、配置を再度組み替えてようやく完成。納品されたスポーツコートはサンプルより素敵に仕上がっていた。それはその筈、数に限りのあるLe Poste 生地を有効活用する為に、切り替え箇所が増えた結果、裁断と縫製の手間が更にかかっているのが良く判る。

今回使用した素材は4種類。
Le Poste(古い郵便袋)
フランス製の古いカーテン生地
ベルギー製の資材として使用されていたヘリンボーン生地
インド製のベッドカバー生地
ヴァンブの蚤の市から始まった 5着だけのスポーツコート。 アーチ米村屋にて販売されます。 是非店頭でご覧下さい。

KF™️ 草野