TOM GRUAT×ARCH / “VIGNERONS JACKET”

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本日は、TOM GRUAT×ARCHのレザージャケットの生産背景やアイテム詳細について紹介いたします。
前回のブログをまだご覧になっていない方は、まずは是非そちらをご一読ください!


一冊の古い写真集。
この写真集は1930年代のフランスで働く労働者たちを撮影した「LA FRANCE TRAVAILLE」という有名な本で、僕たちのバイブルでもある一冊です。

寒い地下室で熟成したワインの瓶詰め作業をしている男性を収めた写真。
この男性は【VIGNERONS (ヴィニュロン)】と呼ばれる仕事の従事者であり、VIGNERONSとは【ブドウ生産者たち】のことです。
ワインが国民的に親しまれているフランス人にとってのブドウ生産者は、日本の米農家と同じくらいポピュラーな職業だったのではないでしょうか。

この労働者が着ているエプロンの中から覗いているジャケットは、レザー製のダブルブレストのジャケットです。
当時、ワークジャケットには様々な素材が存在していました。
リネン、モールスキン、ウール、レザーetc…

通称コルビジェジャケットに代表されるレザーのワークウェアは、当時の労働者階級の人々が高級な素材は手が出せなかったため、価格の安い粗悪なレザーが使われていたことが多かったことは、ヴィンテージのレザーワークジャケットから垣間見ることができます。

「もしも、階級制度のない当時のフランスで働く労働者たちが、自分の作業を快適にこなすための作業着に惜しみなく上等な素材を使えていたら?」

背景を理解し汲み取った上での洋服好きの妄想。
そうして完成したのが今回のレザージャケット、その名も“VIGNERONS JACKET (ヴィニュロン ジャケット)”

TOM GRUAT×ARCH
“VIGNERONS JACKET (ヴィニュロン ジャケット)”


COLOR : BLACK INDIGO
SIZE : S , M , L , XL
PRICE : ¥330,000- inc tax
着数限定あり : 20着

オンラインサイトはこちら

※オーダーイベント当日は、サンプルとしてMとLサイズのご用意となります。

TOM GRUAT氏

1940’s FRENCH WORK JACKET DOUBLE BLEASTED

MAISON SERGENT社製の個体

一流のフレンチヴィンテージディーラー”TOM GRUAT(トム グラット)”と、フレンチウェアの格好良さを伝え続けているARCH。
両者のアイデンティティであり共通点でもある”フレンチヴィンテージ”
その中で今回スポットが当たったのは、TOMがコレクション用に所有しているうちの一つである1940年代ごろのダブルブレストのフレンチワークジャケット。

ダブルブレストのワークジャケットは確かに珍しく、古着市場でも高値で取引されてはいるものの1940年代の個体と、ヴィンテージウェアとしてはそこまで古くないアイテム。
長きにわたりヴィンテージを収集してきたTOMが、なぜこの個体にこだわり大切に保管していたのか。

その答えは…

【この手のダブルブレストのワークジャケットの中で、この上なく秀逸なパターンメイキングによって仕立てられた個体だから】
多くの個体は着丈が短かったり、反対に着丈に対して身幅が広すぎたりと、実際に着用する上での格好良さという部分でバランスに問題のある個体が多いのです。
もう一つはパリで生活しているTOMにとって、MADE IN PARISは特別な思入れがあるから。

僕たちに課せられたミッションは、この秀逸なパターンメイキングを最大限に活かすこと。
初めはリネンやコットン×リネンなどの他素材で生地作りを行い、サンプル作成まで着手していましたが完成したサンプルを見ると、オリジナルが放つオーラと比べて物足りない仕上がりでした。

企画の大筋が決まってから二人三脚で取り組んできた、日本の伝統的な染色職人の方と辿り着いた結論が「レザーに染めを施す。」
ただ染めるのではなく、100年以上前に用いられていた染色技法を使ってです。

ブラックインディゴと呼ばれる、古いフレンチワークウェアによく見られる特有の色味。
今や多くのブランドが、この絶妙なカラーを採用しています。

しかし本当の意味でこの色を再現するには、とてつもないコストがかかります。
多くの方が思うブラックインディゴは、黒染めした生地にインディゴで染色しているだけという認識ですが実際は違うのです。

それもそのはず。
当時のオリジナルに用いられていた染色方法は、インディゴ染めでベースを作り、その上から追い染めで柿渋染めを施しています。もちろん全て手作業によるものです。
その後さらに鉄で焙煎を行いインディゴを変色させることで、あの美しいブラックインディゴが完成するのです。

そして今回はリネンやコットンではなく、レザー。
レザーは染料が定着しづらいため、通常は脱色した白色の革に染色を施します。そうすることで確かに染まりは良いのですが、エイジングしたときの革の表情や色落ちの雰囲気の迫力に欠けてしまうのです。
VIGNERONS JACKETはあえて加工をしていない原皮に、先ほど説明した伝統的な工程の染色を行っています。
染色時の染料の具合や素材との相性により表情に個性が出るので、1点1点それぞれが違った、味のある1着になるのです。

使用しているレザーは、ナチュラルタンニン鞣しをした国産のステアハイド(牛革)。
原皮の厚み調整も行っていないので肉厚で迫力のある生地が特徴的。
着用を繰り返すごとに深い皺が入り、色が落ちてきてインディゴの深い青と革本来の色が交わることで生まれる独特なエイジングが唯一無二です。

秀逸なパターン・生地・染め、ここまで妥協なくこだわってきました。
それだけでは飽き足らず、使用している裏地やボタンにもこだわりました。

まず裏地には、邪魔にならない厚みのモールスキン。
高密度に織られているので、よく裏地に使われるキュプラに近い袖通りの良さです。
表地のレザーとの親和性も高く、ヴィジュアルを損ねない仕上がりです。

ボタンはこのジャケットを製作するためだけに見つけ出した、1950年代ごろの古いデッドストックの物を使用。
ブラックで塗装されたメタルボタンは、使い込むごとに塗装が剥がれてレザー同様に素晴らしいエイジングが期待できます。

パターン・生地・染色・パーツ、全てこだわりました。
残るは”縫製”、こちらは言うまでもなく特別仕様です。

オリジナル同様の”丸縫い”と呼ばれる縫製手法で製作されております。
現代においては信じがたいですが、古いスーツやワークウェア・ミリタリーウェアはテーラリング技術を用いて、一着における全工程をたった一人の職人が全て縫い上げる”丸縫い”で作られていました。

恐ろしく非効率がゆえに今ではマイナーな手法であり、丸縫いができる職人も少なくなっています。
さらに今回はレザーとモールスキンを使用しているので、それらを縫える環境が整っている工場がなかなか見つからず難航していたと聞いています。

お客様からのオーダーをもとに熟練の職人が、一着の洋服を担当する。
生産者の顔が見える野菜を食べると美味しく感じるように、洋服も同じで着用していて気分が上がったり生涯の思い出に残る買い物体験になると僕は思っています。

長編ブログとなってしまいましたが、ここまでお付き合いくださった皆様ありがとうございます。
次回のブログは、この”VIGNERONS JACKET”を実際に着用したサイズ感やスタイリングを紹介したいと思います。
是非ご期待ください!

ARCH南青山
小見野

TOM GRUAT × ARCH
LEATHER JACKET ORDER EVENT
ar ARCH南青山
4/18(fri)~4/20(sun)


ARCH南青山(〒107-0062 東京都港区南青山6丁目2-6 ハイム青山1F・2F)
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