Woolrich Authentic Collection by 草野 健一

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先日のBlogでご紹介させて頂きました”Woolrich Authentic Collection Special Event”。
Arch Sapporoでは、「Rich’s buffalo plaids cotton flannel shirts」の販売と 世界限定50着の「503 Hunting coat」の予約会を開催します。

以下、Woolrich Authentic Collection デザイナー 草野健一氏。

ウールリッチ ジャパン社との契約がスタートする前に、自分なりに同社に対して何が出来るのか? を慎重に考えました。 アメリカのブランドでありながら、 既に本社機能はアメリカには無く、自社の毛織工場も閉鎖されていました。 この十数年はダウンジャケットのブランドとしての認知度が高まり、 本来のアメリカ製ウール製品やアメリカに現存する毛織工場としてのイメージが薄れていた時間帯だったように思います。

そんな中でもアメリカ軍へのウール生地の供給や、鈴木大器さんのENGINEERED GARMENTS をはじめとする、アメリカンデザイナーやブランドへの生地供給に関しての情報が唯一、ウールリッチ = WOOL MATERIAL という認識をもたらしていたのではないでしょうか。

アメリカに現存した毛織工場のブランドなのに、その工場は閉鎖しているし、日本のマーケットではダウンジャケットのブランドだと思われている中で、今後のウールリッチ社にとって根幹になる部分、礎になるような何かを作りあげていく事が重要かもなあ、と考え始めました。 自分の手元には、ウールリッチ社の過去の資料があり、それを最初からじっくり眺めていました。ある日、その資料の中である事に気づきました。

自分の手元には、ウールリッチ社の過去の資料(製品カタログ)があり、それを最初からじっくり眺めていました。ある日、その資料の中である事に気づきました。
ウールリッチと言えば、赤黒チェック柄をイメージしますが、その赤黒のチェック柄には2種類のパターンが存在していました。

一つは正方形に近いチェック柄、もう一つが長方形のチェック柄。
そして、後者には「Rich’s original buffalo plaids」と書かれていました。

昔のカタログを縮小したコピーのようなもので英字は擦れて潰れていて見辛く、iPhoneで撮影拡大したり、コピー機で拡大プリントしてやっと判明。笑

毛織工場のブランドが作るシャツにORIGINAL(オリジナルとは、原型や最初の、独自の、という意味を持つ)と明記している事がとても誇らしく、コレこそがWoolrichの生命線だと確信できた。幸運にも赤と黒のチェック柄というところから、一気に道が開けたような気がした。

資料を眺め続けると、この「Rich’s original buffalo plaids」の記載は1963年にはなくなっている。
表記に関する法整備が整いはじめた頃?もしくは商標権の問題だったのか?
真相は分からない。

ブランドの根幹、礎になるような何かを再構築する為には、赤黒チェックのoriginal表記以外に、いくつかの点、キーワードが必要でした。
点が線になり面を構成出来るように、、、。

Rich’s original buffalo plaids

これからの時代に必要な服というより、これからの時代に考えたい事をぼんやり書いてみました。

『歴史への敬意』
毛織工場は地元に多くの雇用を産みました。ウールリッチ村と言われる程の規模だったそうです。
約190年間稼働し続けたその裏には、毛織工場で働く人々、製品に関わる卸業者や販売店の方々、そしてお買い上げいただいたお客様との様々な関わり合いがブランドを育てあげたのだと思います。

『情報共有』
誰が、何処で、どんなふうに、作っているのか?
着用後の生地の変化、洗濯の仕方、着なくなった服の行方など、モノ作りの背景からお客様の着用シーン、リサイクルされた先までを出来るだけオープンにする事で、環境と循環を知っていただく。
一方通行では無い、情報共有が出来たら面白そう。

『生活者の為の服』
衣食住のバランス感覚は人それぞれですが、生活する上での気持ちのバランスやリズムに寄り添える服っていいなあと思います。
あるテキスタイルデザイナーの方が“消費者ではなく生活者です”とおっしゃっていました。
生活者という言葉にハッとさせられました。

『イージーケア』と『環境問題』
高温多湿な日本では、洗濯機で洗える綿の服は必要です。家庭での洗濯回数を減らせる可能性のある100%ウールの服はこれからはもっと重宝されるかもしれません。
100%ポリエステルの服であれば洗濯での汚れが落ちやすい、リサイクルが可能など、それぞれの素材や取り扱いのメリットとデメリットを考える事で、資源の使い方を考える事にも繋がるとよいですよね。

こうやって書いてみると、なんだか企画提案書のようで、既に何処かで誰かが唱えている事ばかりでした。笑笑

なかなかハードルは高いのですが、豊かな未来の一端を担うブランドを目指して。

続く。