Alden V-tip / plane toe modified last
Archが創業してから21年。
様々なブランド、アイテムを展開してきてました。




その中でもAldenは格別なアイテムではないでしょうか。
そしてそのAldenの中でもArchが置き続けるモディファイドラスト。
ラスト(木型)が15型程ある中で、なぜモディファイドラスト、V-tipに拘り続けるのか。
そちらについては、以前投稿しております、こちらのブログをご覧ください。

今回、再入荷しましたV-tipとPlane toe
当ブログではPlane toeについて掘り下げていきたいと思います。
Plane toeとはそもそも、中世以前に生産され革を足の形に合わせて縫い合わせただけのシンプルな履物が主流で、当然トウ部分にキャップや飾りはありませんでした。
つまり、歴史的にいえば「靴の原初形態=プレーントウ」といえます。
その後に17〜18世紀のヨーロッパで上流階級の靴にバックルや刺繍、装飾が流行しました。

その中で18世紀末〜19世紀初頭にプロイセンの軍人 ゲプハルト・レベレヒト・フォン・ブリュッヒャー将軍(プロイセン軍の英雄であり、ナポレオン戦争の決定的な勝利に貢献した人物。)が、兵士の履きやすさを考えて開発した軍靴が外羽根のプレーントウでした。

生産する上で装飾をつけない分、時間がかからない効率を重視した上で、外羽根という甲の両側に「羽根」を縫い付け、紐で締める構造(外羽根式)にすることで、脱ぎ履きしやすく、足幅の調整もしやすい設計でした。


そこから皆様ご存知の名作
当時、アメリカ国家予算を世界で一番戦争にかけていたWWII期のUS Army、Navyのサービスシューズなどがそのままプレーントウ外羽根の使用でした。

40’sのUS NavyサービスシューズのUSNラストはモディファイドラストの前身となるラストです。



そして今回のモデルはプレントウ外羽根モディファイドラストといった、究極の一足と化したわけです。
ここまで聞くと軍人の靴といったイメージが強すぎますが、現代においてプレントウとはどういった立ち位置で、どの様な場面で使用できるのか気になりますよね。
先日、弊社オーナーの山内と食事をした際に、「社長は葬式の時に何を履いて行きますか?」と質問をした際に答えは「プレントウ外羽根だよ」と。
僕は衝撃的な回答に驚きを隠せませんでした。
何故なら、冠婚葬祭で履いて行く靴は内羽根のストレートチップだと思っていたからです。
勿論、社長もそれが一番ドレッシーである事は存じている中で何故“それ”を履いて行くのか気になりました。
その時の明確な答えは聞けなかったものの、僕自身で考えたのは、、

現代のプレーントウの立ち位置は、アメリカ海軍では、礼装用シューズに「Plain-toed, oxford style」の黒・茶の靴が指定されているということ。装飾やデザインのないシンプルな仕様が求められると学びました。
いかにも洋服屋らしい社長のプレントウの使い方が食事後に魅了されました。

今の時代の洋服は自由であり、周りに何か言われる事はない。
しかし、ルールは知っておくべきだと改めて感じました。
つまり日用履きには勿論、セミフォーマルなシーンにも着用できるプレントウの汎用性の高さは唯一無二である。
ここまで拘り続けた一足を是非とも皆様に体感してほしいと熱望しています。
Arch 松林