FRENCH VEST

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“ミリタリー”というカテゴリーの衣類やアイテムを作るに当たって、重要視するのはやはり“耐久性”“機能性”ではないでしょうか。

きっと見た目を気にした“デザイン性”というのは考えていないはず…。

ミリタリーといえば迷彩などのデザイン性はあるが、その環境に溶け込み擬態する役割のために生まれた“機能性”が故であり、“耐久性”も同様にコットンやウールなどの天然素材からナイロンやポリエステルなどの化学繊維まで、その環境、用途に合わせて選定されてきたはずです。

その“耐久性”“機能性”の両方を必要とした道具としての衣類は現代にも役立てられ、普段我々が何気なく着ている洋服も、元を辿っていくと道具として生まれたものだった。なんて事はよくあることですが、それはファッションとして着用された時にも理にかなう瞬間があるからではないでしょうか。

それを知るのが洋服のおもしろさのひとつであり、ミリタリーアイテムの魅力。

しかし稀に、道具としてのアイテムとして見た時に「なぜだ?」となるものがあるのです…。

ARCH / FRENCH VEST
Color : NATURAL , BLACK
Size : S , M , L
Price : ¥39,600- in tax

1950年ごろ…フランス陸軍が着用していたベストを基に、Archがオリジナルで製作したFRENCH VEST。

ディティールを見ると、ポケットや着脱しやすいようにボタンやジップがあるわけでもなく、これといった特徴が無いのですが、これは基にしたヴィンテージも同様なのです。

ということは、あくまで防寒用のベストでアウターなどの中に着用するためだからだろうか?と生地を見てみると、ウール100%ではなくリネンも入った混合生地。

そこで私なりに調査しました…。

このベストが着用されていた頃のフランスは、ベトナム周辺で戦争をしていた背景があります。

高温多湿な環境に、吸水、吸放湿、発散、速乾性に優れているとされるウールリネンは最適な生地。

「なるほど。それでこの生地なのか。」と一時は納得しましたが、新たな疑問が。

「であれば直接肌に触れるインナーやシャツであるべきでは…?」

そこからしばらく考え、再度調べてみましたが、自分の中で納得できる正解が見つけられず、このベストが持つ道具としての必要性に疑問が拭えないままでいます。

ですが、その必要性や製作背景が不明なものでも使用されていた事実がある以上、必ず意図があるはずです。

ミリタリーアイテムには前期、後期など同じアイテムでも時代によってディティールなどを変化させることが多いのです。

それは実際に使用してみて初めてわかる良し悪しがあるためであったり、理由は様々ですが技術や機械の進化により、もっと効率的に作れる術があるのであれば推移していくのは自然なこと。

その時代、環境によって元のアイテムから段々と無駄が省かれたり、必要なものが足されたりするのがミリタリーアイテムの特徴でもあるということです。

もしかしたらこのベストもその変化の中の片鱗であり、どこかの時代や環境下で誰かの道具として役立っていたのかもしれません。

ARCH / FRENCH VESTで個人的に注目していただきたいのは生地です。

ウール(シェットランド種)87% & リネン(フランス産)13%の混合生地を使用。

それらをフェルト化(熱や振動などによって毛同士の繊維が絡み合って離れなくなり、毛羽立ちや収縮が起きる)をし、140cm巾ほどの生地を約90cm巾ほどまで収縮させています。

私はBLACKを購入し1ヶ月ほど着用していますが、フェルト化によって密度の濃い生地になっているため、特別生地に厚みがあるわけではないですが、意外に温かい…。

混合生地故の肌触りの良さと身幅のあるゆったりとしたシルエットが着心地を倍増させてくれるため、休日には意図せずとも必然的に着用してしまうような、今の私には無くてはならない1着です。

ミリタリー由来のアイテムだけど、そう見えない。

この両者のボヤけた境界線にいるような、どっちとも言えない雰囲気が個人的に大好きな部分です。

是非、Arch STELLAR PLACEやArch各店でお試しください。

Arch STELLAR PLACE 佐藤