呼ばれる服、”EMON”

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今から2週間前のこと。

「もしもし、本日はよろしくお願いいたします。」

そう始まった“EMON”デザイナー 豊島 昭年氏との約2時間にも渡った電話。

今から皆様に見ていただくのは、その2時間の全貌と、佐藤のほとぼり冷め止まぬ感情の全てである…。

MILITARY(ミリタリー) , WORK(ワーク) , SPORTS(スポーツ) , DRESS(ドレス)

人類の誕生から今現在に至るまで、形や生地は違えど”衣服を見に纏う”という行為が行われ続けた結果、時代や文明の発展と共にそれらは進化と変化を続け、何千年、何万年という歳月が経った今でも、”大きく分類”すると男性服はこの4つにのみ限られる。

この歴史の中で生まれた産物たちから着想を経て、Archで扱う各ブランドの衣服は作られていることがほとんどであるが、”EMON”もまさにその内の1ブランドだ。

それらの産物が、誰が何に使い、いつどこで生まれ、何を成したのか。

そのモノ自体に宿るストーリーに憧れを抱き、ブランドを立ち上げ、長い歴史の中に己が手で名を残さんとする意欲や熱さに、さらに強く憧れを抱く者たちが、それらの衣服を自ら着用することで後世に語り継ぐ。

豊島氏は、自らが抱いたその産物たちの“意志と目的を形にする”ことをブランドコンセプトとし、それらを”EMON”というブランドを通して後世に語り継いでいる。

しかし、”EMON”として発信する衣服は、豊島氏が“呼ばれる服”でなければならない。

豊島氏 : 「時間を見つけては古着屋(ヴィンテージショップ)に足を運ぶようにしています」

「その中で大げさですが、私を”呼んでくる”様に目に止まるモノがある時があるんです」

「例えば、Levi’sやWillis & Geigerなど、ブランド化しているヴィンテージたちが相場より安く売っている!とか探していてやっと見つけた!といった様な楽しみ方ではなく、自分だけの発見をするのが何より楽しいし、その発見を”EMON”として共有したいのです」

しかし私は、ANATOMICA TOKYO 初代店長の顔も持つ豊島氏が、服に“呼ばれる”には、豊島氏の感覚などといった言葉では形容しきれない、論理的な理由(審美眼)があるはずだと睨んだのだ。

豊島氏 : 「サイズ感だったり、シルエットは多少意識はしますが、”時代に対しての流行”はあまり気にしないようにしています」

「あくまでも自分の好きなものを。それでいうとファッション向けに作られたものでは無い、着ていた人の日常が垣間見れる、リアルな普段着みたいなものが好きなので、おのずとミリタリー、ワークの部類になります」

「ただ、自分の好きなものをブランドを通して再構築し、世の中に発信するみたいなことは、直接教えてもらったわけではないですが、ANATOMICA TOKYO時代にピエール・フルニエ氏を間近で見て学ばせてもらっていた気がしますね」

「当時からピエールのスタイルを見てきて、時よりマネしてみたりもしましたが、体型から肌の色から何から何まで違うので、自分でかっこいいと思ったスタイルでも、それが自分に合う合わないは必ずありますから」

“自分だったらどう着るか”をピエールや先輩方を前に考え続け、数をこなしてきた結果であることは間違いないと思います」

Archを語る上では、なくてはならないパズルのピース“ANATOMICA”ピエール・フルニエの存在。

これを出されては、私も聞かざるを得なかった…。

佐藤 : 「ANATOMICA TOKYO時の経験や想いみたいなものは、”EMON”のアイテムに意識的に反映されているのでしょうか…」

豊島氏 : 「全く無いとは言えません」

「エピソードとしてですが、昔ピエールやチャールズたちと某セレクトショップを見る機会があったのですが、そのショップにANATOMICA / SINGLE RAGLAN COATと瓜二つのコートが販売されていたんです」

「しかしピエールは、ANATOMICAだってB社のマネだからな。みたいなことを言ったんです」

「良いものは良いと認めて取り入れる。オリジナル(ヴィンテージ)にリスペクトがあって、知った上で自らのブランドを通して発信する、潔さにブランドとしてのカッコ良さを覚えました」

「だからそのままで良い場合もあるし、逆に自分だったらこう着たい。っていうANATOMICA TOKYOで培ってきて、今に至るまでの自分が、オリジナル(ヴィンテージ)を”EMON”としてモディファイドしたいと思う点もあるし」

「その辺は影響を受けていると思います」

回数を。量をこなした人間でないと質は語れない。作れない。

私自身、身近な人から映画俳優や昔のアーカイブなど、様々な人のマネをすることが多い。

そして、それらの出所(時代背景や製作背景、映画、音楽)を学び、この時代のスタイルをしたい!真似してみよう!とスタイルの幅や可能性を模索している。

アメカジとか、モッズとか。挙げるとキリがないが、人によって好きなカルチャーや時代もあるだろう。服が好きが先行する人もいれば、カルチャーや時代への興味が先行した結果、洋服に行き着く人もいるはず。

豊島氏 : 「映画や音楽からくる洋服への影響はほぼ無かったです」

「ケリーグラント、S.マックイーン、ゲンズブール、有名人の写真集や、アウグストサンダーのポートレートなどの写真集は見ましたが…」

「どちらかと言うと、その人たちがどんなシーンで着ているかに魅力を感じます」

ただ服に対しては、そもそも憧憬する存在が今も幼いころも常にいました」

「自分がかかわってきた仕事で身近な存在がいて、その人の様になりたいというよりは、あれいいな!自分だったらこれにアレで・・・と、自分もマネしながら自分の着方ができていきました」

「ただ、1番の代表はやはりピエール・フルニエ氏です。大きく影響されました」

“時代を越える、意志と目的のある衣服”

Archと通ずる共通点や歴史がありながらも、デザイナー豊島氏のフィルターを通った誰も見たことのない発見のような衣服の数々。

Archにあるからこそ、Archで買うからこそ、EMONは他とは違う意味を待たせてくれるような。そんな気が私はするのです。

「あふれる選択肢、様々なジャンルの洋服、数ある洋服店、数あるブランド(メーカー)の中から ”EMON”を選んでもらったことに感謝の「ありがとうございます」と「いいでしょ!」の共感の気持ちです

「多分僕が、古着屋で「呼ばれた」様に”EMON”も呼んだ、のかもしれません」

「購入した服が、長く着て楽しめるものであったらいいなと願ってます」

「またその反面、今シーズンはこれだ!と思ってもらえる物を見つける様な物でありたいと思ってます」

「僕が古着屋で呼ばれる様な服が、皆様のEMONであれば良い。これからもそういう服を提供していきたいです」

「ありがとうございます!」

~EMON Designer “AKITOSHI TOYOSHIMA”~

2025/06/27(Fri)~ “EMON” × “Arch” EXCLUSIVE 発売開始!

詳細は次回のBLOGにて…。

ご精読、感謝いたします。

Arch STELLAR PLACE 佐藤 辰之介