ARCH×SOLNORD

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北海道産羊毛を使い、北海道民が作り上げるニットメーカー SOLNORD(ソルノール)は、2006年までARCHに在籍していた石谷氏が2019年に立ち上げました。

今回、SOLNORDとARCHの共同で、ハンドフレームセーターを製作。

北海道と羊毛の歴史、SOLNORDについて、そしてなぜこのプロジェクトが生まれたのか、、、ご紹介していきたいと思います。

まずは、北海道と羊毛の歴史、そしてSOLNORDについて。

時は明治時代、羊毛を使った軍服を生産する軍事産業のため、当時の大日本帝国軍によって、開拓地の北海道に東北地方から羊を集めたことが始まりと言われています。

その後、第二次世界大戦で日本が敗北したことで軍需産業は衰退しますが、食用として羊を育てる文化が残り発展してきました。

SOLNORDは、主に食用として育てられている羊の毛が産業廃棄物として大量に廃棄されていることに着目(一部の良質な毛は、地元のニッターさん達が買取り、ハンドメイドの材料として再利用されているそう)。

廃棄されるはずであった羊毛をプロダクトへと変えることで、地域の方達の雇用を生み出し、地域の活性化と北海道の文化として発展させることを目標に掲げています。

SOLNORDのコンセプトに共感した ARCHオーナー山内が、ARCHのフィルターを通したプロダクトを作ることにより、SOLNORDと一緒に北海道ウールを広めることができないだろうかと考え、今回のプロジェクトはスタートしました。

北海道で生まれ育った山内自身、そして札幌で創業したARCHとして、これはとても意義のあるプロジェクトだと確信したのです。

今までイギリス製のセーターを沢山取り扱ってきたARCHとして、最良のセーターとは何か?と考えたときに出た答えは「ハンドフレーム製法」であることでした。

しかし、この時代にハンドフレーム製法でセーターを作ることはできるのか、、、

記憶に新しいところでは、エヴェレストのセーターはまさにハンドフレームの代表格でしたが、職人不足のために数年前に廃業しています。

今やシェットランド諸島にもハンドフレーム機を扱える職人が数名いるかどうかのこの時代に、日本でハンドフレームの編み機を所有し、扱える職人が果たしているのだろうか、、、

ここからが前途多難のスタートでした。

時は過ぎ2021年春、中部地方でハンドフレーム機を所有している工場があり、一人のおばちゃんがそのハンドフレーム機を扱えるとの情報が入ります。

そして、そのハンドフレーム機は、一部のサンプル製作や趣味の小物を製作するときにのみ稼働していると、、、

すなわち、このハンドフレーム機で作られた物は、プロダクトとして世の中には出ていないということです。

セーターを製作するにあたり、まず生の状態(薬品を一切使用していない)のウールを洗いにかけ、紡績する必要があります。

その工場で所有していた、日本と英国で共同開発された1956年製の紡績機を使い糸にしますが、限りなく手紡ぎに近い状態で色ムラがあり、、、

それはまさに、ヴィンテージリーバイスと同じ世界です。

そしてその糸を用いて、2PLYと引き揃えの両方の編み立てサンプルを作り、6ゲージ、8ゲージの2種類の2種類で、甘く撚る、きつめに撚るの様々な方法を試し、何が最適なのかを見極めていきました。

結果的に、2PLYの8ゲージが北海道羊毛の良さを最大限に発揮でき、イメージ通りだと確信。

糸が決定したら、次はサンプルの製作です。

山内自身が所有しているセーターの中で一番気に入っている型をベースに、さらに着やすいようにパターンを改良し、石谷氏を通じておばちゃんに伝えファーストサンプルが出来上がります。

結果は全然思い通りにいかず。

まさにおばちゃんが着ていそうなセーターで、お願いした指示がどれも合っていなく、これは無理かも、、、という考えが一瞬頭をよぎったほどだそう。笑

ここからサンプル製作すること6回!!

プロジェクトのスタートから1年半、ついに思い通りのセーターが出来上がりました。

ARCHが提案する、最高のHOKKAIDO WOOL 100%、ハンドフレームによるセーターの完成です。

詳しくは明日のブログでご紹介します!!

ARCH 川上