GUERNSEY SWEATER × WORK JACKET

Share
this article

本ブログでは、GUERNSEY SWEATERの歴史的背景、SOLNORDのフィルターを通したGUERNSEY SWEATERと、Archが解釈したGUERNSEY SWEATERのスタイルについて記述していきます。

ガンジーセーターとは何か、どのように生まれたのか、当時どのように着られてきたのか。

その点について着目した歴史的背景についてまずは記していきます。

GUERNSEY SWEATER (以後 ガンジーセーター)は海の上で働く男たちのセーターであり、

板子一枚で生死を分ける厳しい自然との闘いに生きる、英国フィッシャマン達のユニフォームと言える洋服です。

そして、命を懸けて海の上に働く夫や息子の為に丹精込めて編み上げられた海の女性の、強い思いのこもったセーターでもあります。

ガンジーという名称はイギリス海峡南部、フランス、ノルマンディー半島の西方に点在するチャンネル諸島の一つであるガンジー諸島 (Guernsey)に由来する、

というのが従来の定説です。

ここでは、古くから靴下や濃紺のセーターなどが編まれており、英国への製品供給やフランスからの編物文化の中継地として、この島が隣接するジャージー島(Jersey)と共に、英国編物史において、重要な役割を果たしてきたことは事実。

しかしそれでは、今私達がガンジーと呼ぶ、いわゆるフィッシャマン・セーターが、ガンジー島で始まり、それが北上して広まったのかというとどうも歴史はそんなに単純ではないらしいのです。

1900年、オックスフォード大学出版の”THE ENGLISH DIALECT DICTIONARY”にはこのセーターを表す言葉として、ヨークシャー、シェットランド諸島、サフォーク各地ではGanseyが、同じサフォークでも東部では、Ganzyがそれぞれ用いられており、その他の地域では、

Guernseyという綴りが用いられたと記載されています。

しかし実際に現地に取材した人々の文献を読むと、ガンジーをジャージーと呼ぶ地方やもっと一般的にニット・フロックやジャージー・フロック、時にジャンパーと呼ぶ地方もあることがわかります。

ガンジーが伝統的に編まれている地方ですら、「ガンジーを捜しにきた」というと、「この辺りにはガンジー種の牛はいないよ」と言われたという笑い話のような話も残っているようです。

ガンジーセーターにおける、ガンジー島からの影響の大きさは確かに認められるものの、この島が発生の地で後に北上したと確定するには、今一つ強力な歴史的事実や裏付けが見当たりません。

羊毛産業の盛んな英国において、手編みのものが商品として扱われてきた歴史は長く、

シェットランドやフェア・アイルなどの名で知られる、現在、世界的に名高い編物のうちには最初から商品として作りだされたものが多くあリます。

しかしその中において、ガンジーセーターは特異な位置を占めてきました。

ガンジーは当初から家族の為に家庭内で編まれた編物。

それらが一つの形式にまで高められ、さらに完成されて民衆の芸術と呼ばれるようになった後にも、

長く、家族の為の編物として細々ながらも受け継がれてきたのです。

故にガンジーにはそれを作った人々と、それを着た人々の生活があり、ストーリーがある。

つまりはこのずっしり、おもいセーターからは海の男と海の女性の歴史とロマンが感じ取れるのです。

ガンジーセーターの歴史的背景には、人から人へ、家族への強い思いからなるべくして生まれたものだということが分かります。

しかしながら、ヴィンテージのガンジーセーターに袖を通してみると硬さやチクチクするような着心地が感じられ、現代における洋服の着方において取り入れるには我慢しなければならない点がいくつかあるように感じました。

故に当時の人々は中にシャツや巻物をしていたのだと思います。

その着心地を払拭し、現代の洋服として、歴史を重んじながら製作されたのはSOLNORDのガンジーセーターだと言えます。

ここからはSOLNORDの製作したガンジーセーターについて触れていきます。

実際にSOLNORLDのガンジーセーターに触れ、袖を通してみると今までのガンジーセーターに対する概念が覆される着心地でした。

北海道羊毛という根本から毛先にかけて髪の毛のように細くなっていく毛は生地にすると着心地の良いものとは言えないとデザイナー石谷氏は言っていました。

そこから幾度の試行錯誤の末、数本を撚ったり、引き揃えたりすることで滑らかな生地へと生まれ変わり、ランダムな毛の太細が合わさることで中に空洞が生まれそこに暖かい空気を溜め込み、暖かく、滑らかな着心地の生地へと昇華していき、

元来欠点と言われていた北海道羊毛の特性を利点なものへと生まれ変わらせたのです。

このガンジーセーターは10番手の糸を使用しており、糸を撚らず5本引き揃えで編んでいます。

そこにガンジーセーターの特徴である編み柄を利用して抜け感を出し、通常のガンジーセーターには見られないストレッチ性を実現しています。

ガンジーセーターは元来機敏性が要求される危険の伴う仕事に適する自由な動きを妨げない衣服であることが要求される洋服です。

動きやすさという点において、伸縮性のあるニットが求められるが故にSOLNORDで製作された生地はまさに最適であると言えます。

ここまで、ガンジセーターの歴史的背景やSOLNORDの製作したガンジーセーターの魅力について書いてきました。

ですが、普段街を歩いていてもガンジーセーターを着用している人は少ないように思います。

昔パラブーツが北海道では主流ではなかったように、そしてM47trouserも昔は市民権が得られなかったように、現代に生きる人々においてガンジーセーターもまた同じ状況なのだと私は思います。

ガンジーセーターがもっと市民権を得る始まりはここからなのだとも思っています。

そこで私達は、ガンジーセーターをどのように着用したら格好良いのか一ヶ月近く話し合い続けました。

その結果、”ガンジーセーター × ワークジャケット”が一番しっくりくるということに辿り着きました。

ワークウェアにもアメリカやフランス、イギリスそれぞれの特徴のあるウェアが存在し、そのどれにも合う万能なセーターだと実際に着てみて分かりました。

そのほかにレザージャケットのような少しハードな洋服やマッキノークルーザーのようなジャケットにも合いそうだと話していました。

ぜひ本ブログをご覧の方のワードローブジャケットを持って、店頭にて袖を通してみていただきたいです。

本ブログで記述したガンジーセーター以外にも沢山のSOLNORDの作品が集結し、デザイナー石谷氏ご自身が店頭に立っていただけるイベントを、

2024年12月13日(金曜日)~12月15日(日曜日)の期間中開催いたしますので、ぜひお越しくださいませ。

Arch sapporo 柳田