M-47 Jacket by 柳田
ミリタリージャケットと聞いて最初に思い浮かぶのはアメリカ軍のもの。
M65やジャングルファティーグなど様々なものがあると思うのですが私にとってアメリカ軍のジャケットといえばN-3 Jacketが思い浮かびます。
人の数だけ違ったミリタリージャケットのイメージがあるかと思いますが、最近N-3 Jacketと同等くらいに惚れ込んだミリタリージャケットがあります。
VINTAGE / FRENCH ARMY M47 FIELD JACKET
COLOR / OLIVE
SIZE / 26 , 42 , 44 , 46 , 49
PRICE / 30,800-(inc tax)
1947年頃フランス軍に支給されていたフィールドジャケット、通称M-47 Jacket。
私にとって新たに琴線に触れたミリタリージャケットでした。
オリーブカラーに統一されたシェルですがポケットのフラップ部分の裏側は薄いカーキ色が用いられています。
今まで何となくそういうものとして見てきたディティールですが、何故わざわざ色の違うものを採用したのだろうと考えたら、色々思いつくことがありました。
これは見解や想像に過ぎないので、そういう考えもあるか、くらいで捉えていただけたらと思うのですが、シェル全体に用いられてるオリーブカラーは染めあげているもの対して、フラップの裏側は恐らく無染色。
M-47 Jacketを製作する中で、染色済みの生地と無染色の生地とでコスト削減の為か定かではありませんが使い分けるよう指示されたのかもしれません。
違和感のないこの配色は、音楽でいう所の黒人特有のリズム感があるようにフランス人の無意識の中に存在する丁度良い配色なのかもしれません。
命のやり取りの中で人を守るためにと考え、製作されたミリタリーウェアにデザイン性は皆無であるという考えのもと、この配色を見るとそう思わざるを得ないものでした。
そう考えると、フランス人の無意識下で製作されていたミリタリーウェアを現代のファッションに落とし込むというのは面白いなと思っています。
もう一つ魅力的だと感じる点があります。
ウェストのドローコード位置。
このドローコードは外部からの冷気を中に入れないなど、体温を調整するものかと思うのですが、その位置が絶妙なのです。
イギリスやイタリアのスーツ等見てみるとジャケットのウェスト位置は絞られており、それに伴ってトラウザーの最上部もウェスト位置まで上がっています。
これはある本に記載されていたのですが、このジャケットとトラウザーの位置関係は数世紀に渡り名だたるテーラー達が最適解を導こうと考えた結果今の形になっているとありました。
このM-47 Jacketのドローコードの位置も絶妙なウェストラインに配しているため、ドローコードを気持ち強く締め上げると細身のトラウザーにも難なく合わせることが可能です。
前述の配色と同様にファッション性など考える余地のない状況下の中で生まれたこのディティールもフランス人ならではのものなのかもしれません。
マルタンマルジェラがM-47 trouserの生地や縫製の技術が高いと絶賛し、パリのランウェイを歩くモデルに裏返しに履かせて歩かせたのは有名な話。
今では、フランス軍のパンツと言えばと聞かれれば殆どの人がM-47 trouserと答えると思いますが、昔はフランス軍を代表するパンツは無かったと以前、代表の山内が言っていました。
今ではミリタリーパンツと言えば、と大枠な質問をしても幾人かはM-47 trtouserと答えるかもしれません。
それほどに世に認知されてきたM-47 trouser同様に、いつかミリタリージャケットと言えばと問われれば、M-47 Jacketと大多数が答える日が来るかもしれません…
Arch 柳田