FRANK LEDERと聞くと、私(柳田)がArchへ入社する以前に東京店に足を運んだ日の事を思い出します。

秋頃、所有していたシャツに合うジャケットが欲しくてArchに行った時「この服に合うジャケットを探しています」と訊ねました。
すると、一枚の黒いジャケットを手に「間違いなくこれでしょう」と持ってきてくださったのが、”FRANK LEDER” のジャーマンレザージャケットでした。

その金額に一度は諦めましたが、数週間脳裏から離れず現金を片手に購入しに戻る始末。

着る者を惹きつけ虜にしてしまう。
FRANK LEDERの洋服が持つ魔力的なものを感じずにはいられませんでした。

今回はFRANK LEDERならではの魅力が詰まった新型シャツをご紹介致します。

久々のFRANK LEDERのご紹介になるので、少しブランドについて触れたいと思います。

フランク・リーダー氏は1974年生まれのドイツ出身のデザイナーで、イギリスの名門セントラル・セント・マーチンズ校の卒業生です。

セントラル・セント・マーチンズ校はポール・スミスやマルタン・マルジェラ、アレキサンダー・マックイーン等、数多くの名だたるデザイナーを輩出するロンドンの芸術大学ですが、フランク・リーダー氏はセントラル・セント・マーチンズの卒業コレクションにてアレキサンダーマックイーンから大絶賛され、その年に自身の名を冠したブランド”FRANK LEDER”を立ち上げます。

私自身、FRANK LEDERの作品をいくつか見てきましたが、どの作品も他では見たことのない独特な雰囲気で、昔の映画から出てきたかの様なものばかり…

フランクリーダー氏は民俗学や史学に精通しており、その文化からインスピレーションを受けてデザインしていると知り、モノづくりの姿勢に感銘を受けました。

上記のシャツは世界に数十着と無い今期のFRANK LEDER “VINTAGE FABRIC EDITION”。

違う年代の生地をパーツごとに使用しているので、部位毎に若干異なる肌触りを感じます。

それはFRANK LEDERが過去10年にわたるコレクションに使用してきたヴィンテージファブリックをクレイジーパターンで組み合わせたアイテムであるからであり、FRANK LEDERでしか味わうことの出来ない特別なものとなっています。

不均一な柄を用いるクレイジーパターンは敬遠される方も多いですが、このシャツは絶妙にピッチの違うストライプと清涼感のあるブルーの色味と合わさり嫌味の無い一着。

羽織やインナー使いとしても取り入れることのできる程よい厚みは、これからの季節に重宝するアイテムです。

先のBLUE STRIPEと同様、過去10年以上のコレクションに使用してきたヴィンテージファブリックを組み合わせたアイテムで、襟がバンドカラーになっています。

昨今ファッションに落とし込まれることも増えたバンドカラー。

しかしバンドカラーの歴史は非常に長く一説によると1300年以降にフランスのノルマン地域の貴族が寒さを凌いだり、ノーカラーの補強のためバンドを襟元につけたことが起源と言われています。

普段は作業着として用いられ、正装の時は襟を付けて着ていたとも言われていたというバンドカラーシャツが持つバックボーンを踏まえた上でも見事に洒落に落とし込んでいるなと思わず感心してしまいました。

リネン地のボディーに、前身頃にはコットン生地を使用しており上品なクレイジーパターン。
色味はジャーマンミリタリーを彷彿とさせるグレーがかったオリーブのギンガムチェックで、無骨さの中にエスプリを感じさせます。

当時もしこのアイテムがあったとしたら作業着として扱うには勿体無いと感じるほどの気品が見て取れます。

最後にFRANK LEDER自身が今回のコレクションのために特別に用意した”STRIPE COTTON”シリーズで、先の二着と大きく違う点はサイドにポケットのあるシャツジャケットであるということです。

先述のヴィンテージファブリックエディションにも引けを取らない独特な雰囲気のあるこのアイテムは厚めの生地に加えて落ち着いた黄色をベースにピッチの広いブラウンカラーのストライプです。

夏場は羽織や一枚で着用して軍パンとサンダルに合わせたり、冬場はグレーやブラウンのツイードジャケットにタックアウトでインナーとして着るのもカッコ良さそうです。
使い方は幅広い上に、通年使用して頂ける一着となっています。

また洗いをかけた後のクタッとした様な、肩の力が抜けた質感に変化する楽しみもあります。

メゾンブランドに負けない実力を持ちながらも、故郷であるドイツで腕を震い続けるフランク・リーダー氏の手がける作品とも呼べる洋服たち。

今回紹介したシャツたちは単なる衣類の枠を超えて、ブランドが表現する哲学を感じることのできるアイテムだと思います。

サイズ欠けも出てきておりますので、ぜひ一度実際に袖を通してみて下さいませ。

Arch STELLAR PLACE 柳田