Willis&Geiger / THE HEMINGWAY BUSH JACKET & SUMMER FLIGHT JACKET

Share
this article

3月某日、

閉店後のArch東京にて、
Willis&Geigerの製作を担当されているお二人(A氏、M氏)をお招きし、
Willis&Geiger(以降W&G)というブランドについて改めて勉強させていただく機会がありました。

昨年もお取り扱いさせていただいていた、
R37-J-125 SUMMER FLIGHT JACKET。

そして、THE HEMINGWAY BUSH JACKET。

今期も入荷したこの二型についてお取引先様のお二人からお伺いした話も絡めてご紹介いたします。

Willis&Geiger / THE HEMINGWAY BUSH JACKET
COLOR / PEWTER
SIZE / 40 , 42
PRICE / ¥99,000- (inc tax)

アメリカからパリ・スペイン・キューバ・そしてアフリカへと旅をし、狩猟や釣りを愛した文豪アーネスト・ミラー・ヘミングウェイ。

1930年代に彼がアフリカへサファリ旅行へ行く際、自身の要望に叶うサファリジャケットの製作を、
当時NY随一の高級アウトドアショップだった「アバークロンビー&フィッチ」(Abercronbie&Fitch)に依頼しました。

その「アバークロンビー&フィッチ」のOEMを受け、後に“THE HEMINGWAY BUSH JACKET”と呼ばれるサファリジャケットを誕生させたのが、「ウィリスアンドガイガー」(Willis&Geiger)でした。

そしてこの時代、サファリ生活の天敵であるマラリア蚊や湿気から身を守り、撥水性、速乾性があり快適な着心地の衣服を提供するために開発された生地が”340 Cotton bush poplin“(コットンブッシュポプリン)。

以降、この生地はサファリジャケットだけでなく、後述のミリタリージャケットにも採用されることになります。

高密度に織り上げたコットン100%の(Archのお客様であれば皆さんお好きであろう)生地をあえてポプリン特有の不均一な横線が現れるよう仕上げることで当時のブッシュポプリン生地を再現しています。

アフリカのブッシュ(森林地帯)に勝るとも劣らない、サファリ以上にサファリな昨今の東京の夏でも、
快適に過ごすことができる素材になっています。

何より、コットン100%の素材は自宅で洗濯ができる上、翌朝には乾いている速乾性。
最高のデイリーウェアです。

そして完成した“THE HEMINGWAY BUSH JACKET“は、

買い物嫌いで、面倒くさがりだったというヘミングウェイの要望に応え、
ウエストベルトを廃して、ゴムシャーリング仕様に。

左肩には弱視だった彼にとって必要不可欠なメガネ用のポケット。

そして左胸のマガジンポケット。
彼の愛用したライフルのマガジンを収納するのにぴったりなサイズなのですが、
現代においてはBicのライターが4本ピッタリ収められるそう。そんなに入れる必要ありませんが。(笑)

そういった実用性に加え、
額縁縫いされたマチ付きポケットや各ポケットに付くフラップの曲線美、
背中のインバーテッドプリーツ。

サファリにおける実用性だけを考えれば、必要のないディテールにも、
当時の最先端の技術を用いて妥協なく作られた機能美と様式美。
そんなところにブランドとしての誇りが感じられます。

その製作には高い技術が必要とする故、
1960-80年代に最盛期を迎えたW&G社のプロダクトを理想とするA氏も納得する技術を持った日本のドレスウェアー工場で製作されています。

パターンはCAD(パターンを引くコンピューターツール)がなかった当時と同じく、
手描きでパターンを起こし、手書きならではの美しい曲線を追求。

PEWTERという色についても、納得の行く色になるまで何度も何度も染め直し、
前回のモデル以上の仕上がりになっています。

A氏曰く、これは復刻ではなく、伝承だと。
文化の継承を掲げるArchで展開するArchレーベルやMSG&SONSの洋服に対する考え方とも重なるものがあります。。。

JACKET : Willis&Geiger / HEMINGWAY BUSH JACKET
SHIRTS:MOJITO / ABSHINTH SHIRTS Bar.2.0_gingham (NAVY)
PANTS : KENNETH FIELD / GURKAⅢ TROUSER HERRINGBONE WHITE
SHOES:WALK-OVER
BAG : OUTIL / MOUCHARD MAGNUM – COTTON HEMP
ACCESSORRY : NORTH WORKS
EYEWEAR : guepard

ジーンズを合わせるのももちろん良いですが、
ドレスの工場で仕立てられているジャケットだからこそ、トラウザーとも抜群に相性がいいんです。
僕、小林の今の気分は完全に白。(笑)
50年代のジェットセッターのように潔いリゾートなスタイリングもおすすめです。

Willis&Geiger / R37J125 SUMMER FLIGHT JACKET
COLOR / TAN
SIZE / 38 , 40 , 42
PRICE / ¥99,000- (inc tax)

“R37-J-125”
50年代のプロペラ機からジェット機に変わる時代に使用されたフライトジャケット。
ヴィンテージで見つかる個体に付けられたコントラクトナンバーは2種類しかなく、
R37-J-125はW&G社製であることを表す固有ナンバー。

特徴的な丸襟に背中のアクションプリーツ。
フロントに配置された4つポケット。

これらのディテールが共存するフライトジャケットは後にも先にもこのジャケットだけ。
A氏曰く、操縦の際に4つポケットの仕様がシートベルトの邪魔になってしまうことから、
実際には、操縦時に着用するものではなく、飛行機から降りた際の上着として、あるいは限られた司令官のみ着用していたのではないかとのこと、、。

その細かなディテールを見ていくと、
A氏の語るとおり、限られた兵士にだけ着用が許されたジャケットである事がよくわかります。

2枚の生地で作られた脇下のマチ。
ここを1枚ではなく、2枚にすることで袖の収まりを良くしています。
この部分の縫製が非常に複雑になっており、縫製手順を誤ると作れなくなってしまうそう。
店頭でご覧いただく際は、ぜひこの部分の裏側の縫製もご覧ください。
その美しさに驚くはずです。

内ポケットやシームテープの色、ジップの仕様にまで凄まじいこだわりがあるのですが、
この辺りは、ぜひ店頭でお話しさせてください。

JACKET : Willis&Geiger / R37J125 SUMMER FLIGHT JACKET
SHIRTS : Arch / U.S.A.F SHIRTS
PANTS : MSG&SONS / US ARMY BAKER PANTS
SHOES : Alden

JACKET : Willis&Geiger / R37J125 SUMMER FLIGHT JACKET
SHIRTS : COMING SOON…
PANTS : Arch / 1940 TROUSERS ORGANIC 7W CORDUROY
SHOES : MSG&SONS / US ARMY GYM SHOES

日中は20度近くまで気温が上がって、春間近の東京。
日中歩けば暑いし、夜は予想以上に冷え込んでもう一枚上着を着て行けばよかったなんて思うこの頃。
着込んでも、着込まなくても後悔する季節ですが、そういう時のブッシュポプリンです。

少し長くなってしまいましたが、どちらのジャケットも春夏のワードローブに刺さること間違いないです。
ぜひご来店いただき、ここでお話しきれなかった話をさせていただければ幸いです。

そして、、、

次回のブログでは今回限りの”アメリカ製”のモデルをご紹介いたします。
こちらもぜひご覧ください。

Arch 東京店 小林